共有

第5話

「ぐるぐる回って、結局待ってくれていたのはあなただけ」

夏悠がSNSに投稿した文は、彼女と見南が海辺で夕日を眺めている後ろ姿の写真と一緒だった。

海辺の街に住むことを提案したのは見南だった。彼は「広々とした海が好きだし、この街も気に入っている」と言っていた。

私はずっと、彼がこの街で大学生活の4年間を過ごしたことに未練があり、ここを離れたくないのだと思っていた。

だが今になって、彼の本当の意味がわかってきた。

大学時代、彼と夏悠の間には本当に何かがあったのかもしれない。

彼の友人たちは皆、そのことを知っていたのに、知らなかったのは私だけだったのだ。

結婚式の前日、何度も何かを言いかけては口をつぐんだ添い人の顔を思い出す。

そして、あの夜、泥酔して新婚部屋に戻ってこなかった見南の姿も。

私はすぐに彼の大学時代の友人の一人に連絡を取り、近くのカフェで会う約束をした。

30分後、私は2年前にあの「言いたいことがあるけど言えなかった」添い人と再会した。

この街を離れていなかったことに感謝している。おかげで、彼の過去を知ることができた。

彼は、まるでこの日が来ることを予感していたかのように、席に着くやいなや数枚のA4用紙を私に差し出した。

「皐月さん、本当は騙すつもりじゃなかったんだ。でも南さんは俺の親友だし、でも今の彼は、さすがにやりすぎだ」

私はその紙を受け取り、泣き笑いのような表情を浮かべた。

きっと、彼も夏悠が投稿したSNSを見たのだろう。

私の予感は的中していたのだ。

1ページ目から、そこには彼が知っていた大学時代の見南と夏悠の出来事がすべて書かれていた。

例えば、大学2年の時に見南が夏悠に派手に告白したこと。

七夕の日、学校のイベントで彼女と一緒に深い愛情を込めて歌ったこと。

バスケットボールの試合で優勝した時、彼女を高々く抱き上げたこと。

そして、なぜ彼があの日、突然私にプロポーズしたのか。

涙がポタポタとその文字に落ちていく。

その日、ちょうど夏悠が結婚していたのだ。

彼が私にプロポーズしたのは、私を愛していたからではない。ただ、夏悠以外なら誰でもよかったのだ。

「幼馴染として十年間愛し合い、ついに結ばれた」というのは、私一人の幻想に過ぎなかった。

彼は私を騙し、そして彼を信じたすべての人をも欺いたのだ。

ロックされた本
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status