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第2話

夏悠は見南の手配に、家の中で最も日当たりの良い部屋に住むことになった。そこは、私がわざわざ子供部屋として残しておいた部屋だったのに。

その部屋が、今や私にとって全く見知らぬ女性が住んでいるなんて、想像もしていなかった。

リビングに立ちながら、扉の隙間から聞こえてくる楽しげな笑い声を何度も聞きながら、私はドアを開けてその女性に、「見南は私の夫よ」と伝えたい衝動に駆られていた。

でも、やっぱりできなかった。

だって彼らはただの友達だし、見南も「友達だから助けているだけだ」と私に説明していたから。

もし私が嫌な感情を表に出したら、私はもうあの優しくて、気配りのできる皐月ではなくなってしまう。

私はまだ平らなお腹を撫でながら、外が徐々に暗くなっていくのを見て、携帯を手に取り、買い物に出かけることにした。

私が妊娠していることが分かって以来、見南は何度も「仕事を辞めて、家でゆっくり休むように」と、彼がしっかり私の面倒を見てくれると言った。

最初は嫌だったが、後に強烈なつわりに耐えられなくなり、仕事を諦め、家庭に専念することにした。

だが、買い物から帰ってくると、ダイニングからはすでに辛い香りが漂ってきていた。

私が戻るとは思っていなかったのか、楽しそうにしていた二人は、私が赤と白の買い物袋を持っているのを見て、驚いた表情を浮かべた。

見南は素早く反応し、立ち上がって私の手から袋を受け取り、私を支えながらテーブルへ向かった。その口調には申し訳なさがにじんでいた。

「君が怒って友達のところに行ったのかと思ってたんだ。悠ちゃんもお腹が空いたから、マーラータンを頼んだんだ」

顔色の良くなった夏悠は私に向かってにっこりと笑い、謝りながら「南哥さん、お皿とお箸を用意してあげて」と声をかけた。

まるで家の女主人のようだった。

それに対して私は、疲れ果てて様子で、まるで助けを求めに来た客のように見えた。

……

見南は再び出前を頼み、それもまたマーラータンだ。

彼は私の隣に座り、私のために一つの蒲鉾を取り、器に黄色い辛い油の跡を残した。

「皐月、これ、君の大好物だよ。食べてね」

「そうよ、皐月さん。南さんを怒らないでください。彼はただ私が可哀想で、行き場がないから家に泊めてくれているだけなんです」

見南から渡された使い捨て箸を手に取り、二人の期待の目に見つめられながら、その蒲鉾をつかんで、噛んで飲み込んだ。

しかし、辛さが胃の中を焼き付け、激しい痛みに襲われ、思わず吐き気を催してしまった。

向かいに座っていた夏悠は、その様子を見て困った表情を浮かべた。

「私が嫌いだからって、こんなに露骨に嫌がらなくてもいいのに…私が来た時から吐いてるし、今も食べながら吐き気がするなんて…そんなに私のことが嫌いなんですか?」

彼女の目には涙が溜まり、意地を張って立ち上がり、私に詰め寄った。

見南は彼女に私の妊娠のことを話していないのでしょう。

言ったら、彼女は来たくなくなるかもしれないから。

私は見南に目を向けたが、彼も私に向かって不満げな表情を浮かべていた。

私は結局、涙をこらえ、何も言わずにトイレに駆け込み、再び吐き出した。

つわりがやっと終わった時、外から女性のすすり泣く声が聞こえてきた。

「こんなに私を嫌うなんて、来なければよかった…」

「彼女は君が嫌いなんじゃない。ただ…ただ、最近体調が悪いだけだ」

その後、泣き声は小さくなり、見南に抱きしめられたのでしょう。

その瞬間、私は今まで考えたこともない思いが頭をよぎった。

離婚しようか。

私はもう、誰かと同じ人の心を共有したくはない。だけど、彼との思い出を一瞬で捨てられるほど、私は強くはない。

平らなお腹を見つめながら、私はついに涙をこぼしてしまった。

彼女はまだこんなにも小さい。

まだ、この世界を見るチャンスすらないのに…

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