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第072話

「桜庭様、助けてください!」

「今、桜庭様しか藤島様に話せる人がいないんです」

「お願いです、桜庭様、もし私を助けてくれたら、ニューモデルの愛車を無条件で譲ります!」

桜庭隆一は笑みを浮かべながら、「それ、君が言ったんだな?」

「はい、私が言いました!」

「いいよ。君たち全員に保証しよう、何も問題はない!俺の従兄は、浮浪者のような女のために、君たちみたいな大勢の名家の子弟にわざわざ敵対なんかしないさ。彼は大事なことに忙しいんだ、君たちに構ってる暇なんてない。

さあ、続けて遊びなよ、楽しんで!」

「桜庭様がそう言ってくれるなら安心しましたよ」

「次回のイベントも桜庭様が全権を任されて取り仕切るべきですね。そしたらもっと楽しめますよ」

「桜庭様、ありがとうございます!」

「大したことじゃないさ!」桜庭隆一は豪快に応じた。

豪華で盛大なこのクルーズパーティーも、篠崎葵のような皆が笑い者にできる存在がいないせいで興ざめになってしまった。さらに藤島翔太の登場によって、みんなすっかり意気消沈し、遊び狂う気も失せてしまっていた。

結局、クルーズパーティーは早々に解散となった。

帰り道、車を運転しながら桜庭隆一は須藤祐言に興味津々に言った。「祐言、俺はあの女が今日この連中にめちゃくちゃにされて、もう二度と弄べないと思ってた。でも、今日奴らがうまく弄べなかったってことは、やっぱりあの娘は俺の好みだな」

「どうしてまだあの田舎娘を弄ぼうなんて思ってるんだ?そんなに君の興味を引く女か?今日、君の従兄がわざわざ彼女を連れて帰り、彼のスーツで包み、抱きしめて連れ出したのを見なかったのか?桜庭隆一、お前、命が惜しくないのか?」

親友として須藤祐言は忠告する必要があると感じた。「隆一、俺から言わせてもらえば、君の従兄はそう甘くないぞ!あいつは異母兄弟だって平気で殺すんだ。ましてや、君みたいな従弟なんてどうなるか分からないぞ?」

桜庭隆一は自信満々に言った。「俺の従兄を分かってないな。あいつがあの田舎娘を守ったわけじゃない、自分を守ったんだよ。叔母の病気のために一時的にあの娘と結婚したに過ぎないんだ。でも結婚したからには、彼女がこんなにもみっともない姿を晒すのは許せないだろ」

須藤祐言は少し納得して、「まあ、それもそうかもな」と返した。

「たぶん、今頃俺の従兄は
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