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第41話

葵の顔色は少し悪かった。どういうわけか、四年ほど前から和彦はまるで別人のように変わり、彼女からの様々な要求を無視するようになった。

啓司については、葵は自信がなかった。彼が自分を助けるかどうかも分からなかった。

しかし、葵が欲しいものを手に入れられなかったことは一度もなかった。

「何とかして、どんな方法を使っても、彼女の曲を手に入れて」

紗枝は中代美メディアの電話を切った後、静かな目に冷たい光が一瞬走った。

彼女は葵のことをよく知っていた。

ここ数年、演芸界でも歌手界でも、彼女はまるで中身のない人だった。

他人の成果を盗み、他人のキャリアを奪い…

もし啓司と和彦が無条件で助けてくれなかったら、彼女は到底やっていけなかった…

聴覚に障害がある人にとって、曲を作るのはどれほど困難か、誰も知らなかった。

これまで、二人の子供と出雲の世話をするために、紗枝は絶えず努力してきた。彼らが苦労しないようにと心配して。

今、彼女が稼いだお金は一家の生活には十分だ。

お金のために、葵に作曲を売ることができるわけがなかった。

家に戻ると、紗枝は携帯を脇に置き、浴室に行って風呂に入り、どうやって最も早く物を手に入れるかを考えた。

疲れすぎたのか、紗枝はバスタブの中でいつの間にか眠ってしまった。

親友の唯の電話が彼女を起こした。

「紗枝ちゃん、もうすぐ帰れるよ」

紗枝はバスローブを羽織って出てきた。

「帰ってきたら、歓迎会を開いてあげる」

「いいね。最近どう?啓司にいじめられてない?それに葵のこと、彼女はあなたが帰ってきたことを知ってるの?」

唯は彼女が一人でいることをとても心配していた。

「葵はまだ私が帰ってきたことを知らない。でももうすぐわかるでしょう」

紗枝は窓の外に立ち、夏の風が体に当たり、熱気を帯びていた。

「啓司については…安心して、彼にいじめられないわ」

彼女が話しているとき、ドアベルの音が鳴った。

すでに夜の九時、この時間に誰が来るのだろう?

雷七は近くにいなくて、紗枝は少し不安になった。

本来なら雷七は外で守るべきだったが、ここ数日彼はずっと自分を守っていて休む時間がなかったので、紗枝は彼に休むように言ったのだった。

彼女は階下に降り、玄関の監視カメラを見た。

呼吸が止まった。

彼がどうしてここに?

啓司
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