共有

第18話

一夫は、親戚たちが彼が作った動画の素晴らしさに驚いたと思っていたが、突然にお母さんの暗くなった顔に気づいた。

瑠璃子もこの時急いでステージに駆け寄り、心配そうにスクリーンを指差して注意させた。「お父さん、お父さん......」

一夫は振り返った。

スクリーンを見て、その画面にびっくりして心臓が止まったところだった。

全て彼が信子との不倫の画面で、写真だけでなく、動画、そしてチャット記録もあり、こんな露骨な内容で彼の面子を丸潰した。

暫く経ってからやっと正気に戻り、一夫はスタッフを怒って叱った。「閉じってくれ!」

吃驚したスタッフが怖がって、すぐに画像を閉じった。

しかし、内容は既に皆にはっきりと見られた......

「誰がやったのか?誰だ?」一夫は激怒し、ステージで怒鳴った。

梅子は怒って顔が青ざめた。

沢山の親戚の前で彼女は面子が潰されて、祝宴の雰囲気も壊された。

梅子の隣に座っていた菫が、この屈辱的なシーンを見て、怒ることすらできず、ただ可哀想に涙を流し続けた。

「お父さん......」瑠璃子が彼を引っ張って、落ち着かせようとした。

一夫は歯を食いしばり、そこにたくさんの親戚がいるのを見て、激しく言い出した。「宴会を始めさせて頂きます。さっきの画像は僕を嵌めるために、加工して作られたものです。こういうくだらない人の仕業に影響されないでください」

一言を残して、腹立ってステージから降りて行った。

自分の座席に戻って、彼の顔色が青ざめた。

「一夫、前に外で何をしたかもう構わなかった、私の知らないことはどうでもいい、でも、今日、皆の前で......とにかく、この女、二度と私の前に出てくるんじゃない!」梅子が歯を食いしばって怒鳴った。

「お母さん、これは......」

「言い訳するな」梅子は怒って叱った。「菫、この女、君に任せる。根絶してやれ!」

目が赤くなった菫が不満そうに言った。「分かりました、お母さん」

「いただきます!」梅子が食事をし始めた。

今日の誕生日パーティーはすべて台無しだった。どれだけの人に笑われるか知らないかった。本当に縁起が悪かった。

一夫は暗い顔をして、多くの親戚の前で我慢をするしかなかった。

真弓は別のテーブルに座っていた。鈴木家のルールでは、年長者、そして辰巳のような直系子孫だけがメインテーブルに座れ、彼女と瑠璃子は他のテーブルに座り、お客さんの世話をしなければいけなかった。

彼女はゆっくりと食事をしていた。鈴木家はいつも豪華を尽くして宴会を行ったので、美味しい料理が沢山あった。そして、今日はいい気分なので、彼女は沢山食べた。

その時。

隣に空いた席に、一人の男が座って来た。

真弓は振り返って一瞥して、気にしなかった。

知らない人だし、目立たなかったし、彼女と関係がなかった。

彼女はひたすらおいしい料理を食べていた。

食べ終わった後。

口を拭いて、同じテーブルの親戚に丁寧に挨拶してから帰るつもりだった。

目的が達成したので、彼女は一秒もここにいたくなかった。

彼女はまっすぐに別荘の出口へ歩き出した。

「お姉さん、どこに行くの?」瑠璃子はいつの間にか彼女の後ろに現れた。

真弓は振り返って彼女を見た。

彼女が白いドレスを着て、おとなしく優雅に見えた。隣に文哉が立っていた。彼は少し遅れて来たが、ずっと瑠璃子の傍にいた。鈴木家の親戚は、彼らがカップルだと分かっていた。

「君に関係ない」真弓は冷たかった。

「今日はおばあちゃんの誕生日です。先に帰るとまたおばあちゃんに叱られますよ。私はただそうなるのを心配し......」

「帰らないと叱られないのか?!」真弓は眉を引き上げた。

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status