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第17話

親戚の前で、瑠璃子の面子を考えて、真弓はソファの隅に座った。皆から離れて孤独に見えた。

「真弓、お婆さんの誕生日にプレゼントを用意しなかったのか?」一夫の妹の美佳子が怪しげに聞いてきた。

美佳子の家族全員が鈴木家で働いており、一夫を頼りにしていた。菫と仲が良くて、美佳子のお陰で、菫が一夫と知り合って一緒になった。

真弓は嘲笑した。

突然、瑠璃子と文哉が一緒になったことも美佳子のお陰だと思い出した。

瑠璃子は物真似が上手だよね!

「彼女のプレゼントなんかいらない」梅子が軽蔑の口調で言った。「彼女の分際で良いプレゼントを買えるのか?貧乏の癖に!」

「おばあちゃん、姉さんを見下さないで、姉さんは今星野グループを引継ぎました。星野グループがここ数年景気が良かったですよ。この前、姉さんが友達を戸川亭で招待しました。戸川亭での消費は最低でも数十万円がかかります。私はめったに行けないですが、千葉紀子が御馳走してくれたくて行きましたけど......」瑠璃子は長く話してから、突然黙った。

間違ったことを言って突然気づいたようだった。

「真弓、楽しく過ごしているようだね!」梅子は皮肉に言った。

「真弓、これは良くないね。そんなに高いレストランで友達を招待したのに、お婆さんの誕生日プレゼントを用意しないなんて、礼儀悪いよ」美佳子が年長者の口調で言った。

「そうだ。真弓は恩知らずだね。お婆さんの誕生日、年に一回だけなのに......」

「瑠璃子を見て、お婆さんに服を設計したのよ。お婆さんの服を見て、ゆったりとして綺麗だろう」

客間にいる親戚たちが皆真弓を嘲笑いした。

今迄は黙っていた。

しかし、今、彼女は叱られる子供じゃなくなった。

「私が間違っていなければ、お婆さんが着ている服は、千葉グループ傘下のSWシリーズの春のデザインで、しかも去年のデザインですね」真弓は直接暴いてやった。

瑠璃子の顔が青ざめた。

彼女が反論する前に、真弓は付け加えて言った。「中高年向けのシリーズが人気がないため、このデザインは有名じゃありません。私が千葉グループにいた頃、このシリーズの服は1万件以上の在庫がありました。ただで文哉からもらったのでしょうか」

瑠璃子の顔が青ざめた。

真弓に暴かれて、彼女は凄く恥ずかしくなった。

彼女はただ簡単で済むと思って選んだプレゼントだが、真弓に暴れるとは思わなかった。

「おばあちゃん、それは違います。おばあちゃんにあげた服は、おばあちゃんに似合いますから上げました。流行った服がいいとは限りません。おばあちゃんが質がよくて、普通の人と違っています。そして、おばさんに聞きますが、この服がおばあちゃんに似合いますか?」瑠璃子が機嫌を取るように言った。

美佳子は勿論のことで瑠璃子の肩を持ったので、急いで彼女に合わせて言った。「来て初めてお母さんの服を見て綺麗と思った。お母さんの素質は高貴だったので、普通の人より、鮮やかで独特な感じがあるわ」

「瑠璃子は服を見る目があるよね。おばさんがこの服を着て本当に美しく見える」

「こんなに綺麗な服を見たことがない......」

皆が嘘をついて機嫌を取り始めた。

しかし、梅子はそんなに騙しやすい人じゃなかった。売れない服をくれたなど、嬉しくなれないだろう?!

でも、皆の前で怒ったりすると、自分の面子が潰れると思った。

しかし、心の中で瑠璃子に対する疎外感があった。

「真弓、君のプレゼントは?」美佳子が言葉を替えて真弓を責め始めた。

「いらない!」真弓が答える前に、梅子は軽蔑して言った。

瑠璃子に粗末に扱われたので、真弓は猶更だと思った。

年を取ったので、これ以上恥をかきたくなかった。

梅子を見て、真弓は残念そうに言い出した。「お婆さんにプレゼントを用意してきましたけど」

梅子は全然気にしなかった。

真弓はバッグから普通のギフトボックスを取り出した。

箱を開いた。

現場の人達をびっくりさせた。

中にはルビーのネックレスが入っていた。

一目見ただけで価値が高いことが分かった。

「これは、前回オークションで売られた中世ヨーロッパの貴族のネックレスじゃないか?6億円だそうだ。どうして君が持っているの!」美佳子が叫びだした。

オークションに彼女も行った。彼女もこのネックレスに惚れ込んだ。

「偽物じゃないよね?!」突然誰かが言った。

「おばさんはいつもアンティークジュエリーに興味を持って、とても詳しいから、見てくれませんか?」真弓が聞いた。

美佳子が本物だと認めたくなかったが、また嘘をついてばれたら、自分の名誉毀損になると恐れていた。

彼女は不本意で、「本物だ」と言った。

その言葉が出てきた途端。

客間で大騒ぎになった。

多くの親戚が身を乗り出して、もっと詳しく見たくなった。

梅子でさえ、ルビーのネックレスに惚れた。

「どうやって手に入れたのですか?」瑠璃子が疑って聞いた。

真弓がどうしてこんな宝物を持っていたのだろうか?!

母とおばさんがこのネックレスのことを数えきれないほど話していた。

「文哉が送ってくれたと言ったら、怒らないだろうね」真弓が眉を引き上げて言った。

瑠璃子の瞳が瞬いた。

文哉はこんな高価な贈り物を真弓に贈ったのか。

彼女の目は嫉妬で赤くなっていた。

真弓は瑠璃子の反応を気にせず、再びゆっくりと宝石を片付けた。「お婆さんがいらないと言ったから、仕方がありません」

梅子が言い出そうとしたが、また言葉を飲み込んだ。

自分が言い出した事だから、ひっくり返すのは面子が丸潰れだと思った。

彼女が怒って顔貌が崩れた。

真弓は梅子の顔色の変化を分からないふりをして、ルビーをバッグに入れて、再び送るつもりはなかった。

美佳子もそれ以上言わなかった。

今迄、真弓は気まずいと思わなかったし、瑠璃子に恥をかかせて、梅子に大好きな物を失わせて、大勝利だった。

幸いなことに、ますます多くの親戚がやって来た。

皆が親戚に挨拶し始めて、真弓のことを考える暇がなくなった。

宴会が始まった。

宴会の場所は別荘の裏庭に建てられた仮設のプラットフォームにしていた。親戚の前で母親への誕生日を祝って、一夫が親孝行を皆に見せつけるつもりだった。

真弓は立ち上がり、スタッフのところに向かった。

「これは鈴木一夫がお婆さんへのサプライズだ。画像を流す前に、これを流してくれ」

「分かりました」スタッフが承諾してくれた。

真弓は静かに自分の座席に戻り、芝居を期待していた。

巨大な別荘の裏庭で、一夫が情熱に満ちていた。ついに大声で言い出した。「次は母の誕生日祝いのために作ったビデオです。ご覧ください」

皆が専念してスクリーンを眺めた。

スクリーンに突然真っ白な体が現れた。

在席の皆が、ヒロインを知らないが、一夫を知っていた。

突然静まり返った。みんなびっくりした。

一夫がまだ誇りに思って微笑んだ。

一夫は親孝行の息子で、皆が知っていた。お父さんが死んでから、お母さんに行き届いたお世話をしていた。北城の親孝行の代表に選ばれた。

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