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第16話

会長就任4日目。

すべてが思う通りに順調なわけではなかったが、真弓の手に負えないほどまずくとも言えなかった。

各部門の総監が翌日に報告してくれたが、ただのごまかしだった。きっと一夫に言われたままにしただろう。

幸いなことに、彼女は長い間光臣と連絡を取り合っており、会社の情報について次々と教えてもらった。会議を開催したのは、これらの人々をより深く理解し、上手く対応していくためだった。

真弓の顔色が悪くなった。大嫌いな人から電話がかかってきた。

ベルが鳴り続いた最後の瞬間に、彼女は電話に出た。

向こうから叱る声が伝わってきた。「真弓、躾の悪い人だね!私の電話にも出てくれないのか?」

「では、今の電話は豚からですか?」真弓は嘲笑した。

「真弓、でたらめだ!私のことを豚と言ったのか?天罰されるのが怖くないのか」鈴木梅子の声はさらに鋭くなった。

「そうですかね。なら私から遠く離れてください。天罰が下された時に罪のない貴方を巻き込んだらいけないでしょうかね?!」

「お前、お前、お前!」梅子は怒って声を出せなかった。

「真弓、適当にしてよ。お婆さんが自ら電話して、こんな態度で何するつもり?」一夫が激怒した。

「どんな態度を取ればいいと思いますか?」

子供の頃から彼女を殴ったり叱ったりして、そしてお母さんを苛めた女に、笑顔で対応することができるのか?

真弓と無駄話をする気がなかったみたいだった。「明日は土曜日で、お婆さんの71歳の誕生日だ。実家に戻ってお祝いしろとお婆さんが言った。お婆さんの好意を無駄にするな!」

真弓は微笑んだ。

昨年、梅子の70歳の誕生日に来てもらわなかった。彼女が北城の笑われ者になった。今、彼女を誕生日祝いに実家に戻ってもらうには、好意と言って信じるもんかよ!

「いいよ」真弓が素直に承諾した。

丁度鈴木家に別件があったから。

真弓がすんなりと同意したことに一夫が驚いたが、それ以上を言わず、直接電話を切った。

彼女は携帯を置き、既に鈴木家の家族からの冷酷な態度に慣れた。

彼女は気にせず仕事に没頭した。

夜8時。

真弓が書類を片付けて、立ち上がって会長室を出た。

信子の席はすでに空いていた。

定時帰り、真弓がどんなに忙しくても、信子は時間通りに帰ることにしていた。

彼女は信子の椅子に座り、コンピューターの電源を入れてから、コードを入力してパスワードを解除した。

早速使える情報を調べ始めた。

30分後。

真弓がUSBメモリを持って出て行った。

......

翌日。

携帯の着信音で彼女が起こされた。

ちらりと見て電話に出なかった。うつむいて再び眠った。

次々と電話がかかってきて、我慢できず、真弓が電話に出た。

「真弓、どこだ?どうして戻ってこないの!」梅子が咆哮した。

真弓が時計を見て、朝の7時だった。

「聞こえないのか?」

「早く行って、葬式のためですか?」真弓が冷たく言った。

「お前、お前、何て言ったんだ!」

「そうじゃなかったら、時間を確認して行くようにしますよ」

梅子が怒ったが、真弓は気にせず電話を切った。

彼女が背伸びをした。でもさっきの電話で眠気が覚ました。

彼女は起きて、不意に、ベッドの上壁に飾ったお母さんの唯一の写真を見かけた。若い頃のお母さんは美しかった......

一夫の目が眩んだから、菫に誘惑されただろう。

気を静めて、真弓はゆっくりと起きて洗顔して化粧をした。

鈴木家の別荘に着いたころ、もう朝の10時だった。

何人かのゲストが来ていた。すべて親戚だった。家での小型パーティーだから、普通は家族だけだった。

真弓を見ても挨拶する人はいなかった。皆が彼女を軽蔑していた。

子供の頃から数え切れないほどの親戚に軽蔑されて生きて来た。

母親がいないから彼女を苛めたり、尻軽女と嘲笑いされたり、瑠璃子より可愛くないと軽蔑されたり......

多すぎて、真弓はもう慣れていた。

彼女は自然に客間へ入った。

梅子はソファの真ん中に座り、周りにしがみつきたい親戚に囲まれていた。

一夫がゲストに挨拶したりして、瑠璃子と菫が梅子の傍にいた。

真弓が入って来るとすぐに、皆が彼女に視線を向いた。

2年ぶりだが、梅子は軽く彼女を一瞥して揶揄った。「今日は私の誕生日なのに、この時間になって来るなんて!お前は鈴木家の子孫かよ?」

「鈴木辰巳も来てないじゃありませんか?」真弓は言い返した。

辰巳は菫と一夫の息子で、彼女より2歳年下だった。辰巳のお陰で、菫が鈴木家に無事に入った。

「お前は辰巳と比べられるのか?辰巳はまだ若い。夕べお父さんと会社で残業していたので、朝寝坊しただけだ」梅子が正々堂々と言った。

辰巳は素直に仕事したのか?!きっと徹夜でゲームをやっていただろう。

でも、率直に言うと、鈴木家は典型的な男尊女卑の家庭だった。

瑠璃子も気が利いて、鈴木家の財産をもらえないから、星野グループを狙ったのだ。

「お姉さん、弟が朝寝坊だと知ってるでしょう。気にしないでよ。こっちに来て座ってくださいね」瑠璃子が積極的に好意を示して、気前よく見えた。

わざと親戚の前で振舞った。

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