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第11話

「あなたが不倫していた母親の遺伝子のせいで、こうして愛人になるのが得意なんですね」

私は隣にいる女性を一瞥し、さらに挑発した。

香川正治は怒りをあらわにし、勢いよく私に平手打ちをしてきた。だが、私は避けることなく、その一撃を受け止めた。

口元の血を拭き取りながら、香川正治の驚愕した表情を見て、私は力を込めて同じように彼に平手打ちを返した。

坂本笙子は私の行動に驚き、唇を震わせながら後ずさりしようとしたが、

私はその機会を与えず、彼女の髪を掴んで素早く平手打ちを食らわせた。

「何を見てるの? あなたも欲しいの? いいわよ、ついでにやってあげる」

二人は予期せぬ暴力に茫然自失し、互いに顔を見合わせるしかなかった。

その二人を叩き終わった後、私は視線をその横にいた女性に向けた。

彼女はようやく恐怖に気づき、顔を覆って後ろに下がろうとした。

「お前、反抗する気か? 千代さん、家の掟を持ってきてくれ!」

香川正治は息を整え、いつもの弱腰とは違う一面を見せ、この母娘に対して威厳を示そうとしていた。

「誰が私の娘に手を出せるって言ったの?」

その時、私の母・香川縁が藤田浩介を連れて怒りの表情で部屋に入ってきた。

扉を強く閉める音が響いた。

「香川正治、あなたもついにここまで来たわね。私、香川縁の娘に手を出すなんて、ずいぶん勇気があるじゃない」

「あなたがどんな女を娘にしようと構わないけど、私の柚木に説教する権利はないわ!」

「忘れてないでしょうね? 一ヶ月前に離婚したばかりよ。それなのに、今さら何を父親ぶっているの?」

香川正治は母を見るなり、まるでネズミが猫に出会ったように、すっかり勢いを失った。彼は必死に平静を装いながらも、声は弱々しかった。

「今日は争うために来たんじゃないんだ。ただ、坂本笙子に少し財産を譲渡しようと思って……」

「彼女たちはこれまでずっと苦労してきたんだ。だから、多少の金銭的補償はしてやらないとな」

母は机上に置かれた書類を一瞥し、呆れたように笑った。

「何て図々しいのかしら。柚木に与えた物を、他人に横流しするつもりなの?」

「そもそも、あなたが香川家との縁談をお願いした時、彼女たちを捨てたのはあなたでしょ? まるで皆が彼女たちに借りがあるかのような口ぶりね」

私は母の手を軽く引き止め、彼女に落ち着くよう促し
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