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第6話

彼女は普段から浪費癖があり、林拓也の援助を受けても、生活は常にギリギリの状態だった。

それでも自尊心が高く、プライドのためにバイトをすることも拒んでいた。

その奨学金は彼女にとって唯一の生活費で、今回の出来事で私は林拓也のヒモ生活ぶりを暴露した。

面子を何よりも大事にする林拓也にとって、それは死ぬよりも辛いことだっただろう。

日が経つにつれ、林拓也が借りていたお金は一向に返済されない。

香川家の弁護士チームに動いてもらおうかと考えていた前日、突然銀行口座に入金の通知が届いた。

林拓也が、ついにお金を返済したのだ。

私は少し惜しいと思ったが、すぐにこの出来事に不審感を抱いた。

彼は今まで私からのお小遣いで生活していた身だ。

いくら頑張って稼いでも、こんな短期間でこの額を集めるのは不可能だ。

一体、誰が彼を裏で助けたのか?

警戒心が高まり、私はすぐに大学の友人たちに連絡を取り、林拓也と坂本笙子の近況を調べさせた。

すると、驚くべき情報が返ってきた。

坂本笙子と林拓也は大学を休学していた。

二人は急いで去って行き、寮の荷物すら持ち出さずに消えたという。

林拓也はあちこちで「月収2000万円の仕事を見つけた」と吹聴し、もうすぐ贅沢な生活が始まると言っているらしい。

私は平然と応じたが、その後すぐに探偵に連絡を取った。

調査には時間がかかる。

その間、私は次々と手元にある情報を整理し、過去の人間関係を思い返していた。

しかし、どうしても辻褄の合わない部分があり、全てが腑に落ちるわけではなかった。

それでも、探偵は私を長く待たせなかった。

探偵から電話がかかってきたのは、私がゆっくりと戦利品を手にして店を出た時だった。

ハイヒールの音がタイルの上で響く。

私は探偵の報告を聞きながら、目の端で黒い影がこちらに近づくのに気づいた。

いつものようにさっと右に避けたが、その影は私の前で立ち止まった。

視線を上げると、そこにいたのは坂本笙子だった。

電話の向こうでは探偵が報告を続けていた。

「香川さん、あなたが調べた人物は最近、香川家グループの子会社を頻繁に出入りしているようです」

私は軽く返事をし、スマホを下ろして坂本笙子をじっくりと観察した。

彼女は少しふっくらしていて、少しゆったりとしたドレスを着ていた。

体には高級ブラン
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