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第7話

私はいくつか商品を選んで、店員に向かって言った。

「先ほどの品に加えて、他のものも全部包んでください」

それから、坂本笙子を見つめて微笑んだ。

「坂本さんはこんなにお金持ちなんですから、これくらい大したことないでしょう?」

笙子は、まさか私がこんなにも図々しいとは思わなかったようで、顔色を悪くしながら私を睨んでいた。

しかし、見栄を張るため、怒りを抑えてレジに向かい、顔を少し落ち着けてからパスワードを入力した。

しかし次の瞬間、店員は申し訳なさそうに言った。

「申し訳ございません、このカードは現在、凍結されております」

笙子は一瞬驚き、そして顔を真っ赤にしながら言った。

「そんなはずないわ、もう一度試して!」

店員は何度もカードを通したが、顔色はどんどん悪くなり、冷たい目で笙子を見るようになった。その目は、彼女の顔に何度も平手打ちをしているかのように見えた。

その時、笙子の携帯電話が鳴り響いた。

彼女はまるで助け舟が現れたかのように慌てて電話に出たが、誤ってスピーカーモードにしてしまったため、林拓也の声が店内に響き渡った。

「笙ちゃん、資金繰りが尽きた! 早く今まで買った高級品を売って、緊急の資金を作ってくれ! 」

「君、今デパートにいるだろ? すぐそっちに行くから待ってて!」

笙子は叫び声をあげ、困惑した様子で電話を切り、

「違うの……」と弁解し始めた。

店員の表情は一層険しくなり、硬い笑みを浮かべながら言った。

「では、これらの商品はどうされますか?」

私は肩をすくめ、いくつか気に入った品を選びながら、ゆっくりとした口調で言った。

「お金がないなら、見栄を張らないことね。これを包んでください、このカードで」

店員は嬉しそうに笑みを浮かべ、私に包装された商品を渡した。私は先に店を出た。

後から出てきた坂本笙子の姿は、まるで追い詰められた野良犬のように、しっぽを巻いて惨めな様子だった。

しばらく彼女の後を追っていると、急いで駆けつけた林拓也の姿が見えた。

冬だというのに、彼は汗びっしょりだった。

彼は怯えた顔で笙子の手を取り、近くの階段脇へ連れて行った。

「笙ちゃん、どうにかしてくれ! 今、どうすればいいんだ?」

「お前、自分がどれだけすごいと思ってるんだ? 今のお前のせいで、香川柚木に俺は完全に恥をかかされたん
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