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第3話

「香川さん、このスカーフ、どうですか?決ちゃんが買ってくれたんですよ」

坂本笙子は、得意げに袋を開けて、ほとんど私の目の前に突きつけるようにして見せびらかしてきた。

私は淡々と答えた。

「うん、あなたのそのぶりっこな雰囲気にぴったりね」

「どうしてそのスカーフを選んだのかしら……ああ、そうよね、あなたって、いつも私がいらないものを拾うのが好きだもの。うちのそのスカーフ、もう掃除のおばさんにあげたわ」

坂本笙子の顔がこわばった。

黙っていた林拓也が見かねて、彼女をかばいに出た。

「お前、まるで自分がプリンセスみたいに思ってるんだな。誰もが、何もかもお前にへつらわなきゃならないとでも?」

「俺たちはお前に何の借りもない、香川柚木、どうしてお前がそんなに偉そうにしてるんだ?」

坂本笙子も再び勢いづいてきた。

「このスカーフは決さんが初めて稼いだお金で私に買ってくれたものよ。嫉妬しないで、負け惜しみを言うんじゃないわよ」

「それに、香川家は最近結構な赤字を出してるんじゃない?香川家のお嬢様も自分の家の心配でもしたら?」

私は眉をひそめた。香川家の内部事情を、坂本笙子がどうして知っているのか?

彼女の顔中に幸せがあふれているのを見ながら、ますます興味が湧いてきた。

真相が明らかになった時、彼女はどんな顔をするのだろうか。

私は皮肉を込めて笑い、もう一台のスマホを取り出して支払い画面を坂本笙子の目の前に突きつけた。

「へえ、彼が初めて稼いだお金って、私が設定したQRコード決済の『代行払い』で払ったのね?」

「最近、彼の食事も服も全部、私のカードから自動で引き落とされてるのよ。それでも『借りてない』って言えるの?」

先ほどまで威勢のよかった坂本笙子は、一気に黙り込み、信じられない様子で何度も画面を確認した。

林拓也の動揺した表情を目にすると、すべてを理解した。

坂本笙子の顔は青くなったり、白くなったりしていた。

最終的には、怒りを抑えきれずに、スカーフの入った袋を林拓也の顔に投げつけた。

林拓也は慌ててスカーフを袋に戻しながらも、私に向かって険しい目を向けるのを忘れなかった。

彼が追いかけようと一歩を踏み出したその時、

私は彼を呼び止めた。

私は、部屋の隅で黙々と計算をしていた。

林拓也が先に沈黙を破った。

もしかしたら暗闇が
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