Semua Bab 鬼課長とのお見合いで: Bab 61 - Bab 70

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第六十一話・『青柳と櫻井課長』

 しばらくすると「ふぇぇ~ん」と和季の泣き声が聞こえてきた。 どうやら起きてしまったらしい。「……まったく。また、寝かせに行ってくるか」 櫻井課長は、ため息混じりに頭をかくとリビングから出て行った。 亜季は体が火照って、残念な気はした。それでも息子に振り回される櫻井課長も可愛く思ってしまう。思わず笑ってしまった。 しばらく経っても、なかなか戻って来ないため、覗きに行くとベッドで一緒に眠っていた。 どうやら疲れていたらしく、釣られて寝てしまったらしい。スヤスヤと同じ顔が隣で並ぶ。 和季はギュッと櫻井課長の服を掴んで離さない。仲のいい親子だなぁ~と思った。   亜季は微笑むと、そのまま静かにドアを閉めた。 それから数日後。いつものように櫻井課長は、和季とバトルをしていた。 朝は相変わらず賑やかだ! 櫻井課長が会社に行くと、家事を手早く済ませて亜季と出かける準備をした。 今日は、木田と一緒に教習所に行くことになっていた。 教習所に向かう前に和季を託児所に預けに行く。小さな託児所だったが保育士も数人居て、設備はしっかりしているようだ。 安全なようにドアは二重に鍵がついているし、ベビーサークルが設置されていた。 聞いた話だと評判もいいらしい。「じゃあ、しばらくの間、よろしくお願いします。和季。じゃあ、いい子で待っていてね」「ふぇ~ん。まんま~」 女性保育士に和季を預けた。しかし和季は嫌がり、亜季に抱っこを要求してくる。 こうも泣かれると行きづらい。 可哀相に思えてしまい、後ろ髪を引かれそうだ。「ごめんね。すぐに迎えに来るからね」「小さい子って、泣いて離れるのを嫌がるから、可哀相になってくるわよね」「はい。もう何だか、胸が痛いです」 一緒行く木田の言葉に苦笑いする。早く済ませて迎えに行こう……そう決心した。 教習所は確かに託児所から、十分ぐらい歩いた場所にあった。 手続きを済ませると、まずは講習を受ける。 その後、学科講習と技能講習などに進んでいく。どちらも試験があるから、これに合格をしないと免許が貰えない。 まずは、学科講習で合格をしなくては。 講習を受けた帰り道に、亜季は本屋に寄ると免許用の参考書を買った。 和季には新しい絵本を買ってあげた。 午後は和季が昼寝をしている間に、亜季は参考書で勉強する。「えっと…
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第六十二話。

 そして見事に学科試験を突破した。落ちるかと思っていたから嬉しい……。「良かったわね。櫻井さん」「うん。ありがとう」 一緒に教習所に通っている木田がお祝いの言葉をくれた。木田とは、一緒に通っていて、年も近い。そのせいか、どんどんと仲良くなった。 後は……技能講習と試験のみ。もっとも難しくて、これで落とされる人も多いらしい。「やっぱり、実際に運転してみると難しいものなの?」「えぇ、もう大変。見ているのと、やってみるのでは全然違うから、覚悟した方がいいわよ」 そう言われてしまう。覚悟か……。 何だか余計にプレッシャーになってしまう。上手くできるだろうか? ココから担当の教官(教習指導員)の元で合格が決まる。 (怖い人が当たりませんように) そう祈りながら名前を呼ばれるまで待合室で待つこと数十分。「櫻井さん。櫻井亜季さん」「あ、はい」 亜季は慌てて呼ばれた方を見る。そうしたら意外な人物に遭遇してしまった。 その人物は青柳だったのだ。「えっ? 松井さん?」 目の前に立っているのは間違いなく青柳だった。「えっ? 何で……こんなところで!?」 意味が分からずに亜季は困惑してしまう。するとハッとする。 そういえば自動車関係の仕事をしているって、前に言っていたような気がする。 あの時は櫻井課長のことで頭がいっぱいだったから。 改めてお礼を言うために、慌てて頭を下げた。「あの時は、本当にありがとうございました」「上手くいったようだな。苗字が変わっていたから気づかなかった」 物静かな言い方をする青柳。 あぁやっぱり。相変わらず雰囲気や口調が櫻井課長に似ていると亜季は思った。「はい、お陰様で。無事に結婚して、現在一歳になる息子も居ます」 少し照れたように亜季は報告をする。青柳には本当に感謝しないといけない。 この人が背中を押してくれなかったら自分は、ずっと後悔していただろう。 海外まで追いかける勇気なんて持てなかった。「お礼を言われる必要なんてない。俺は、あくまで自分の意見を言ったまでだ!」 青柳は目線を逸らしながら。そう言ってきた。(フフッ……相変わらず無愛想な人ね) 照れると目線を逸らす癖なんて本当に櫻井課長に似ている。 親戚や兄弟だと言われても亜季は信じてしまうだろう。「フフッ…お仕事は教習所の教官だったん
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第六十三話。

 ガーンと、どうしようもないショックを受ける亜季。 いや自分でも最初から上手くやれるなんて、思ってはいない。それでも、もう少しはマシだと思っていた。(私ってこんなに下手なの?) 改めて認識すると、余計に落ち込んでしまう。そうしたら、「まあ、初めてなんだし。上手くやれなくて当然だ! 少しずつ教えていくから覚えて行こう」と、言って励ましてくれた。 優しい言葉をかけてもらい亜季は嬉しくなる。 今日の講習は、これで終わった。帰る身支度をしてから、青柳にお礼を言うために頭を下げた。「今日は、ありがとうございました。明日もよろしくお願い致します」「あぁ、こちらこそ。じゃあ、また明日」「あ、待って下さい」 立ち去ろうとする青柳を何故だか慌てて止めてしまう亜季。(あぁ、またやってしまった……) どうしても青柳を見ると引き留めてしまう。止めた理由は思いつかないのに。「……何?」「あ、えっと~今度改めてお礼をさせて下さい。色々とお世話になったので」「……いいよ。別に。それより明日も頑張って」 素っ気なく、それだけ言うと行ってしまった。 あっさりと断られてしまった。 でも彼らしいと思う。 まさか、あの人が担当教官として再会するなんて思わなかったから。不思議な気分だ。 そのことは、夜に自宅で櫻井課長にも話した。「えっ?担当教官だった? 青柳さんって……確か、君が背中を押してくれたと言っていた人か?」「そうそう、その人。もう驚いちゃって、やっと、ちゃんとお礼が言えたの」 亜季は嬉しそうに話した。 櫻井課長は、ふーんと曖昧な返事をしながら、和季に離乳食を食べさせていた。 (どうしたのかしら? 何だか興味なさそう) 不思議そうに首を傾げた。せっかく恩人の話をしているのに。 すると櫻井課長は、ため息交じり「まだ肉食系ではなくて良かったかもな」と、小さな声でボソッと呟いた。「えっ? 今なんて?」「いや、何も。それよりご飯にするか? 和季も離乳食を食べ終わったし」「あ、今すぐ準備するわね」 亜季は慌ててキッチンに戻って行く。一体、何を言いたかったのか分からないままだったが。 出来上がった料理をよそって持っていく。 今日は、カレーライスとツナとトマトのサラダにした。 ダイニングテーブルに置くと、櫻井課長が亜季に聞いてきた。「それよ
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第六十四話。

 さらにハンドルを動かすが、なかなか真っ直ぐに進まない。無口な青柳までもが声を上げて怒られるぐらいに酷かった。 30分後。教える方も教えられる方もグッタリしていた。「あの……すみません。下手で」「いや……これも仕事だ。次は、もう少しマシになっていてくれ」「……はい。できるだけ頑張ります」 これは、本当に頑張らないと青柳に申し訳がない。 その後も、何度も教習所に行っては運転を頑張るのだが、どれもイマイチだった。 自分でも驚くぐらいの下手さ。せめて今年までには免許が取れたらいいのだけど、難しいかもしれない。 そして日曜日。櫻井課長に初めて運転を教えてもらうことに。 櫻井課長の前では、少しでも上達したとところを見てほしい。そう思うと、ますます緊張してしまう。 道路は、まだ仮免許ではないため、運転ができない。広く練習ができそうな場所まで櫻井課長の運転で連れて行ってもらった。 広めの駐車場まで着くと、亜季は運転席に移動する。「じゃあ、ココを道路だと思って、やってみろ!」「は、はい」 亜季は気合を入れて、勢いよくアクセルを踏むとハンドルを回す。 しかし、何故だかバックしてしまった。 「えっ? 何で……どうして!?」 慌ててブレーキを踏み、停めようとするがドンッと勢いよく停まってしまった。 意味が分からない亜季に櫻井課長は怒鳴りつけられる。「アホか。バックして、どうするんだ!?」 その怒鳴り声と、急に停まったため後ろのチャイルドシードに乗っていた和季が泣き出してしまった。 亜季も櫻井課長に驚いて恐怖でビクッと肩を震わせる。「もう一度やってみろ!」「は、はい」 ビクビクしながらも真剣にやり直した。 しかし教習所でやれないものが、簡単にできるわけもなく、曲がってしまった。 またバックしてしまうなど、ミスを連発してしまう。自分でも驚くほどのミスの連発だった。「……お前……本当に免許を取る気があるのか?」「もちろん……です」 ビクビクしながら亜季は、そう伝えた。 そうしたら櫻井課長は、思いっきり窓ガラスを叩きつけた。「ひ、ひいいっ!?」「だったら、もっと真面目にやらんか!? お前は、俺と和季を殺す気か? こんなやり方で免許を取れるわけがないだろ。俺が教官だったら、すぐにお前を切り捨てる。そのつもりでやれ。分かったな!?」
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第六十五話。

 翌日。亜季は練習の成果を出すために教習所に向かい運転をする。 上手くとは、なかなか言えないが……前よりは明らかに、ミスも少なかった。青柳も驚いていたぐらいには。「随分とミスが減ったな。練習でもしたのか?」「ありがとうございます。鬼教……主人に付き合ってもらって、昨日たくさん練習をしました」 亜季は嬉しそうに笑顔を見せる。やっと、少しは合格に近づいた。 まだまだ合格には、ほど遠いけど……。 車を定位置に停めると、今日の講習は終了。ホッと胸を撫で下ろした。「今日は、これで終わりだけど……引き続き、頑張って。じゃあ、また明日」「あ、待って下さい。良かったら、お昼一緒にどうですか?」 青柳がそう言い、去って行こうとするので慌てて呼び止めた。 少し驚いたように亜季を見る青柳。「前のお礼と、いつも親切に教えて下さるので。せめてご馳走させて下さい!」 さすがに迷惑ばかりかけているので、これぐらいの事をさせてほしい。 そう思って声をかけた。「あ、いや……まだ仕事があるし」「お昼休みは、何時からですか?」「……12時半からだけど……」 少し困った表情で教えてくれた。12時半なら待っていられる。 やや強引だけど、お礼をしないのも気が引けるし、できる時にしたい。「私、その時間まで待っています。あ、託児所に息子を迎えに行かないといけませんけど」「わ、分かった。なら、待合室にでも待っていてくれ。終わったら、すぐに行くから」「分かりました。じゃあ、待合室で待っていますね」 青柳は、少し困ったように、そう言ってきた。目線を逸らされる。(良かった……これでお礼が出来るわ) そして亜季は木田と一緒に、和季を迎えに託児所まで行く。 そのまま別れると、教習所に戻って待合室で待った。 ベビーカーに座っている和季をあやしながら待っていると、しばらくして青柳が現れた。「すまない。少し遅くなった」「いえいえ。大丈夫ですよ」 立ち上がりながら言うと、青柳はベビーカーに居る和季の顔を見る。「この子か? 君の子供は……」「あ、はい。そうです。名前は和季と言います」 青柳が和季のことを聞いてきたので亜季は説明をすると、「パパ。パーパ」と、和季が青柳に対して、そう言ってきた。 抱っこまでねだっている。どうやら青柳を櫻井課長と間違えてしまったようだ。
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第六十六話。

「笑わないでくれ……正直。赤ん坊を抱いたことがなくて、戸惑っているんだ」「すみません…フフッ」 青柳は複雑そうな表情をしていたが、やっぱり笑ってしまう。 何だか櫻井課長を見ているようで微笑ましい。 青柳は、恥ずかしいのか頬を染めていた。その雰囲気まで、そっくりだった。 そしてレストランに着くと店内に入った。和季は亜季が受け取り、抱っこした。 注文すると話すことがなく、沈黙してしまう。この雰囲気、前にもあった。 自分の櫻井課長に対する後悔や悲しさでいっぱいの時に。 青柳の言葉で、自分は勇気をもらった。叱り飛ばしてくれて良かったと、心から感謝をしたい。 あの時は叱り飛ばしてくれなかったら、櫻井課長のもとに行けなかった。 そして、ずっと後悔ばかりして情けない人生を送っていた。 「あの……あの時は叱り飛ばしてくれて、本当にありがとうございました!」 もう一度、深々と頭を下げた。感謝をしても仕切れないぐらいに、彼には感謝をしている。「謝らなくていいって言っただろ? 俺は、曖昧な関係を君にはしてほしくなかったから言ったんだ。むしろ言い過ぎたかもと思ったほど。悪かったな……不愉快な気持ちにさせて」 逆に謝られてしまう。そんなことはない。 不愉快に思うだなんて……罰が当たってしまう。大切な恩人なのに。「不愉快だなんて…そんな。むしろ、とても感謝しています。背中を押してくれたのは、間違いなく青柳さんですから」 すると青柳は「君は……よく鈍感とか言われないか?」と、言ってきた。「えっ? 鈍感……私がですか?」 その台詞、前に櫻井課長にも同じようなことを言われたような……?「どうですかね? そそっかしいとかなら、友人と主人に最近言われましたけど」「あぁ、それなら俺も同意だ!」 納得する青柳にショックを受けた亜季。(まさか彼まで同意するなんて……酷い。いくらなんでも、そこまでそそっかしくないわよ! もう) 亜季が頬を膨らませると、青柳はそれを見てクスッと口元が緩んでいた。 (あ、笑った) 青柳の笑顔は貴重だと思う。あんまり笑顔を見せない人だからだ。「君の旦那は大変だな。こうも鈍感な奥さんを持つと、安心ができないだろう」「それって、どういう意味ですか? あ、もしかして馬鹿にしてます? 私のこと」「さあな?」 青柳は、そう言いまた
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第六十七話。

 青柳に自宅を招待したら驚いた表情をされた。 それでも、ぜひ家に来てっもらいたいと思った。櫻井課長にも会わせてあげたい。 櫻井課長も、きっと彼にお礼を言いたくて仕方がないはずだろう。「いや……それは、さすがに……ちょっと」「何でですか? 家は全然構いませんし、それに主人もお礼を言いたがっています」 櫻井課長は直接会いたいとは言ってはいないが、そう思っているはずだ。律儀な人だし。 それに、お互いに似ている部分がある。もしかしたら会えば仲良くなれるかもしれない。どうしても来てほしいと思ったら誘ってしまった。「君は……思いっきりがいいな? 分かったから」「本当ですか!?」 亜季は、やや強引に家に来ることを承諾してもらう。 これぐらい強引にしないと、来てくれないと思ったからだ。遠慮気味なところも櫻井課長に似ているから。 さすがに実感、引かれたような気もするが。それでも、おもてなしをしたい。 亜季は承諾してくれたことが嬉しくて、その夜に、帰宅した櫻井課長に話した。「はぁっ? 呼んだのか!? その……青柳さんっていう人を」「えぇ、もちろん。智和さんの方からも、きちんとお礼を言って下さいね? 私たちの恩人の方なんですから」 亜季はニコニコしながらそう言った。そうしたら何故だが、櫻井課長は大きなため息を吐いてくる。どうしてだろうか? 不思議に亜季は首を傾げる。 「相変わらず、思いっきりがいいと言うか何と言うか……」 と、さらにため息を混じりになる櫻井課長。眉間にシワまで寄っている。 まったく意味が分からない。 恩人なのだから、喜んでくれると思っていた。彼だってお礼を伝えたいはずだと。「分かった。で、いつ来るんだ? その……青柳さんは?」「明後日の水曜日に来て頂けるみたい。住所を教えたら、多分智和さんと同じぐらいの時間帯になると思うわ」「……そうか。なら、なるべく早く仕事を終わらせて帰宅する」 櫻井課長は渋々だが、そう言って納得してくれた。 とりあえず良かった……これを彼を自宅に呼べる。もう呼んでしまった後だったから、きちんと許可を貰いたかった。 気合いを入れて、ご馳走を作らなくては。 亜季は、のんきにそう考えていた。 しかし、それを見ながら櫻井課長は、軽くため息を吐いた。「青柳さんには申し訳がない……」と言いながら。 そ
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第六十八話。

「えっ? そうなんですか? あの……はじめまして。青柳真一郎(あおやなぎ しんいちろう)です。奥様には……その」「あぁ、それなら妻から聞いています。 色々と、ご迷惑と助言をなさってくれたそうですね? 本当にありがとうございます」 櫻井課長は頭を下げて、丁重にお礼を伝えた。 それに対して青柳は慌て出した。まさか、そんな風にお礼を言ってもらえるなんて思わなかったからだ。「あ、いえ…頭を上げて下さい。俺は、あくまで気持ちを言ったまでです。決断を出したのは、奥様です!」「いえ……お陰様で私達はもう一度、やり直せることができました。あなたのお陰だと思って、今でも感謝しています! どうぞ、自宅まで案内します。妻が張り切って、待っていると思いますので」「あ、はい。すみません……」 櫻井課長は、青柳さんを自宅まで案内する。しかし、やっぱりお互い気まずい雰囲気になってしまったが。 どちらも無口で似たような性格のため、会話が続かなくて無言のまま。ただ歩いているだけだった。 そんな事を知らない亜季は、まだかまだかと待っていた。 数分後。 ガラッとドアが開いた。いつものように帰ってきたようだ。「ただいま~」「お帰りなさい」 亜季は慌てて和季を抱き上げて、リビングから出ると玄関に向かっていく。そうしたら櫻井課長と青柳が一緒だった。 思わない組み合わせに驚いてしまった。「まぁ、青柳さんまで? いらっしゃいませ」「……こんばんは。今日は、お招きありがとうございます」「さっき駅で偶然に会って、一緒に歩いて来たんだ」 気まずそうに言う青柳に対して櫻井課長が代わって説明をしてくれた。 なんて偶然だろうか。やっぱり何かと縁があるらしい。 亜季は、それを聞いて嬉しくなっていく。「まぁ、そうだったんですか? フフッ……ゆっくりして行って下さいね。さあ、どうぞ」「……お邪魔します」 緊張気味に青柳は中に入ろうとする。すると抱っこしていたはずの和季が、「パパ、パーパ。パパ……パパ?」と2人を指す。 交互に見ながら不思議そうに言ってきた。似ている二人を見て驚いたのかもしれない。櫻井課長と青柳は、お互い顔を見合わせる。「フフッ、確かにパパが2人に見えるわね。和季の場合は」「そんなに……似ているか?」「えぇ、とても。さあ、それより夕食にしましょう」 不思議
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第六十九話。

 雰囲気だけではなく、性格や価値観とかが似ているような気がする。 フフッと亜季は微笑んでいると、和季がテーブルをバンバンと叩きながら、手を伸ばしてきた。「まんま~まんま~」「あ、はいはい。和季は、こっちね」 そう言いながら和季に離乳食を食べさせた。それに気づいた櫻井課長と青柳は食事を食べ始めた。「あ、美味しいです」「本当ですか? 良かった~お口に合わなかったら、どうしようかと不安だったから」 気合いを入れて作ってみたけど、まだ料理に自信があるわけではない。 お世辞かもしれないが、青柳に美味しいと言ってもらえて嬉しかった。「味付けも丁度いい……」 「良かった。妻は結婚してから随分と料理を頑張って、覚えましたからね」「あ、もう。智和さんったら。青柳さんの前で変なことを言わないで下さいよ。恥ずかしい」「アハハッ……悪い、悪い」 櫻井課長は、謝るが笑っていた。 亜季は頬を膨らませると、それを見た青柳が静かに微笑んでいた。「仲良さそうで安心しました。俺が最初に松井さんに会った時は、かなり落ち込んでいたので……」「あれは……。でも確かにそうでしたね。最初に会った時は、本当に主人に似ているなって思って」 あの時は、思わず青柳ばかり見ていた。 別れた傷が癒えていない時だったし、櫻井課長と青柳を重ねてばかりだった。「俺は、お前が合コンに行ったという真実を後から聞かされて、驚かされたぞ?」 ムスッとした表情で言う櫻井課長。そうだった。 海外に追いかけた後に櫻井課長に彼のことを話した。追いかける、きっかけをくれた人でお世話になったと。 その時も合コンに行くなんて、と説教されそうになったっけ……。「ごめんなさい。でもお陰で、追いかける勇気をもらったから。結果オーライですよ!」「結果オーライって……まったく。相手が青柳さんだったからいいものの……」「いえ、俺は…本当に何もしていませんよ。あれは、俺の意見を松井さ……奥様が素直に受け取り、実行してくれたからですし」 亜季と櫻井課長のやり取りに、青柳は謙虚気味に言ってきた。 そんなことはない……彼の言葉があってこそだ!「でも、あの時は青柳さんが叱ってくれなかったら、自分に言い訳をしてばかりで。気持ちを告げられませんでした。本当にありがとうございます!」 亜季は深々と頭を下げると、櫻井課長
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第七十話・『温泉旅行』

 そして数ヶ月後。私は、少し遅れながらも無事に免許が取ることができた。 喜んでいると青柳がこちらに来た。「無事に合格ができて良かったな。おめでとう」「ありがとうございます。青柳さんが辛抱強く教えて頂いたお陰です。本当にお世話になりました」 亜季は深々と頭を下げてお礼を伝える。 これも辛抱強く教えてくれた彼が居たからだろう。もちろん櫻井課長のことも忘れていないが。「俺も一安心だよ。君は、あまりにも下手だったから」「アハハッ…すみません」 そう言ってきた青柳を見ながら亜季は苦笑いする。 確かに、免許を取れるなんて不思議なぐらいに下手だった。よく取れたと、自分でも思う。「では、本当にお世話になりました」「あの……櫻井さん」「はい?」「いや……何でもない。元気でな」 行こうとしたら青柳に呼び止められた。しかし振り返ったが、何もないと言われた。 他に何か言いたそうだったが一体、何だったのだろうか?「はい。青柳さんこそ……お元気で」 亜季はニコッと微笑み返した。 教習所に、まさか彼が働いていたなんて思わなかったけど。これも何かの縁だったのだろう。 せっかくなんだし、また家に来てくれたらいいのだが。 そう亜季は、のんきに考えているのだった。 そして数日後には、無事に免許が届いた。 自分の名前と写真が貼ってあり、真新しい。何だか嬉しい気持ちになった。 しかし、そんな亜季に早くも運転するチャンスが訪れた。「おめでとうございます。一等の温泉旅行無料招待券です!」 カランカランと鐘を鳴らされた。 今日、商店街で買い物をしていたら、福引き券を数枚を貰う。 丁度一回なら引けると、亜季はクジを引いた。すると奇跡的に一位の温泉旅行が当たってしまったのだ。「嘘っ……やった。和季。温泉旅行が当たったわよ!」「うっ……?」 意味の分からない和季は、きょとんとしていた。  まだ和季には分からないだろうけど、亜季は大はしゃぎだった。 嬉しくてその夜。帰宅した櫻井課長に、そのことを話した。「温泉旅行?」「はい。1泊2日なんですが、今度の休みに家族で行きませんか? もちろん。私が運転します」 こんなチャンスは、なかなかない。 高速に乗るのは不安はあるが、せっかくのチャンスだ。遠出がてら運転をしてみたい。「うむ。悪くないな。丁度、仕事も
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