「あぁ、前に企画書を見た取引社が気に入ってな。今度、計画されている遊園地の広告をぜひ松井にやってもらいたいと申し込んできた」 なんと大型の遊園地の広告を亜季が担当としてやらせてもらえることになった。 小さな広告をいくつか担当させてもらったことはあったが、こんな大きいのは初めてのことだ! いつか大きな広告を……そう思って、今まで必死にやってきたので大抜擢だった。 亜季は嬉しくて思う。「は、はい。頑張ります」 こんなチャンスは二度と来ないかもしれない。 そのためにも、ぜひ成功させて次のステップアップにしたいと思った。 亜季は意気込み、仕事にも力が入ってくる。 全て順調そのはずだった。あの噂を聞くまでは……。 それは、あれから一週間後のことだった。「亜季~大変、大変」「どうしたの? 美奈子。そんなに慌てて?」「いいから、ちょっと来て」 頼まれた資料を届けに行ったはずの美奈子が慌てて戻ってきた。 そして強引に給湯室に連れて行かれてしまう。 給湯室まで連れて行かれると、亜季と向かい合わせにさせられる。「いい? 落ち着いて聞いてね? 櫻井課長……海外の会社に飛ばされるらしいわよ!?」 美奈子は興奮気味に、そう言ってきた。「えぇっ!?」 亜季は驚きを隠せなかった。だって、どうして櫻井課長が海外の会社に飛ばされるのだろう?? しかしハッとする。もしかして、社内恋愛が知られたから? だけど、この会社は社内恋愛は禁止ではないはずだが?「それって……私が原因なの?」「分からないわ。私も男性社員が噂をしているところをたまたま聞いただけだから」 亜季は頭の中が真っ白になった。 もしその噂が本当なら櫻井課長は、上司ではなくなってしまう。 我が社にも居なくなってしまう。そんなの……嫌だ。 原因は、やっぱり自分あるのだろうか? 櫻井課長は実績も高いし、他の上司からの信頼もある。大きなミスや小さなミスもしない。 几帳面な性格の櫻井課長が失態をするとなると、自分のこと以外は考えられないだろう。(どうしよう……私のせいだ) まだ自分のせいだと分かったわけではないが、責任を感じてしまう。 櫻井課長の人生を壊してしまった。亜季の頭の中は混乱する。「ちょっと亜季。しっかりして!? あくまでも噂で、それが真実だと決まったわけではないから」「
Last Updated : 2025-03-15 Read more