All Chapters of 鬼課長とのお見合いで: Chapter 51 - Chapter 52

52 Chapters

第五十一話・『恋の決断』

『初めてメッセージをします。あれから、どうですか? 元気にやっているのなら、いいのですが』 青柳は気遣って、わざわざメッセージを送ってくれたようだ。 やっぱり櫻井課長に似ている。そういうところが。 亜季は急いでメッセージを返した。『メールとお気遣いありがとうございます。元気にしているかとなると、微妙なところです。少しずつ』 そこから先が打てなかった。 前向きにと打つはずだったのに、嘘を言っているような気がして。 あれからも立ち直ってもいないくせに。 (消そう……) 亜季は消去ボタンを押そうとしたが、手が震えてしまう。そのまま誤って送ってしまった。「あっ~どうしよう!? あんな中途半端な書き方をしたメッセージだなんて、相手に対して失礼じゃない」 送られた方は驚いてしまうだろう。何が言いたいのか分からないし。 謝りのメッセージを……。 亜季はそう思っていたら、またメッセージが届いた。青柳からだ。『返事ありがとうございます。さっきのメッセージを読ませてもらいました。無理に、元気に振る舞う必要はないと思います。悩み、相手の気持ちを考えているからこそ、人は成長ができるものだと思います!』 そう書かれていた。「悩み、相手の気持ちを考えているからこそ、成長ができる……?) 今の亜季には心に響く言葉だった。 もう一度メッセージを書いて送ってみた。『励ましの言葉ありがとうございます。凄く心に響きました。私は成長ができるでしょうか?』 すると、すぐにメッセージが届いた。『それは、俺にも分からない。でも君が成長をしたいと思うのなら、それは良い方向に向かうのではないか?』 それから青柳とは、自然とメッセージのやり取りが続く。 悩み相談とか……色々と。 彼は亜季に的確なアドバイスをしてくれるだけではなくて、聞いてもくれる。 そうすると自然と自分の心の中が、さらけ出せるようになってきた。 どうして、こんなにも心の中のことが言えるのだろうか? 不思議だ。 そんな時、青柳から『会わないか?』とメッセージが届いた。(会う……青柳さんと?) 正直、亜季は戸惑ってしまう。 まさか、会いたいと言ってくるとは思ってもみなかったからだ。 こんなにも相談に乗ってくれるし、素敵な人だと思う。だけど、今は新しい恋とか考えられなかった。 向こうは、た
last updateLast Updated : 2025-03-18
Read more

第五十二話。

「そういうのを人は、甘えだと言うんだ。確かに、失恋は時間が経てば解決することもある。しかし、それから逃げたり自分の気持ちに嘘をつけば、必ず後悔する。君のは、自分から逃げているだけだ。相手が、どうとか言い訳をして、気持ちをひた隠しにしているだけ。そんな奴が成長なんて期待ができるわけがないだろう」 青柳は強い口調で厳しく言う。その言葉は亜季の心に深く刺さった。 腹が立つほど図星を言われたからだろう。「だって……仕方がないではないですか!? 私は責任がある大きな仕事があるし、櫻井課長は海外に行ってしまう。私が止めることなんて無理だし」 だって……本当は行ってほしくなかった。 でも、彼の出世の邪魔なんてできない。 だったら、別れるしか選択肢がない。 それがいけないことなのだろうか?「……無理? それで、君は満足しているのか?」「……えっ?」「自分に嘘をついてまで我慢をして。今の現状を本当に満足ができているのかと聞いているんだな?」「満足って。そんなの……しているわけ」 そんなのしている訳がない。辛くて……今にも泣きだしそうだった。 ずっと後悔ばかりで、自分でも呆れるぐらい情けないだけ。 大きな仕事を任されて、充実しているとは言えなかった。「どうして、一緒について行かなかったんだ?」「だって……」 櫻井課長に、ついて来てほしいと言われなかった。 やらなければいけない大切な仕事だってある。それを目標に今まで頑張ってきたので放り投げることができないし。「離れたくないなら無理やりでも一緒について行けば良かっただろ? なのに……そんなこともしない。それは新しい環境や不安。仕事を言い訳にして、他人任せで相手を信じていなかったせいだ! どこかで、辞めてくれるのではないかとか、相手が動いてくれるまで待っていただけの甘えだ」「………」 青柳の言葉は、キツいが真実を言われているような気持ちになった。 胸がギュッと絞めつけられているみたいに苦しい。 そのせいか何も言い返せなかった。(自分は櫻井課長に甘えていた……?)「自分から逃げているだけの奴が、相手に振り向いてもらおうなんて考えが甘い。逃げるなら最後までぶつかってからにしろ」 青柳の言葉にハッとさせられる。(私……今までどうしていたんだっけ?) 櫻井課長に誤解を解いた時も……初めて泊ま
last updateLast Updated : 2025-03-18
Read more
PREV
123456
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status