「美奈、行こうか」私は必死に母のお腹を睨んだ。さっき、医者から母がすでに妊娠2ヶ月以上だと確定されたところだった。どうすれば母のお腹にいる悪魔を消し去ることができるのか。前世では、この悪魔が生まれてから、家族をずっと苦しめ続けた。両親を気まぐれに叱りつけ、おばあちゃんの目を刺し、おじいちゃんを怒り死にさせ、そして私が彼に一言注意しただけで、階段から突き落とし全身麻痺にさせた。夜遅く、人工呼吸器を抜かれたこともあった。彼がその時言った言葉は今でも忘れない。口元を歪ませ、目には狂気に満ちた興奮が宿っていた。「起きろよ、お説教好きなんだろ?お前なんて、ただの役立たずだ。カスが俺に説教するなんて、死ねよ」「何してるんだ、早く行かないと」おばあちゃんは皺だらけの顔をしかめながら、私に不機嫌そうに言った。おばあちゃんは私が女の子だということで、昔から私に冷たかった。母は場を和ませようと、目をくるりと回し、偽りの笑顔を浮かべて私に聞いた。「美奈、ママのお腹の中には弟か妹、どっちがいいと思う?」私はどうにかしてこの悪魔が生まれてくるのを止める方法を考えることで頭がいっぱいで、おばあちゃんの話なんて気に留めなかった。「ママ、遺伝子検査をしてみたら?ヤコブ症候群を持っている子供がいて、反社会的人格を持って生まれてくることがあるらしいよ」「まあ、そんなこと思いつかなかったわね。私の友達にその道の専門家がいるから、頼んで聞いてみるわ」私は心の中で焦り、明らかにおばあちゃんの言う検査とは別物だと思った。それでも少しの希望を抱いていた。もし弟のヤコブ症候群が検出されたら、それも悪くないかもしれない。だが私はまだ、おばあちゃんにとって弟がどれほど大切な存在であるかを甘く見ていた。
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