小林は言われたとおり薬を一時間煎じて、栗原に届けて飲ませた。 栗原は相変わらずひどく弱々しい様子で、起こされた時は意識が朦朧としていたが、前よりは少しマシになったようだ。 数時間後、昼近くになって、小林は驚きを隠せなかった。あの一杯の薬だけで栗原の顔色が見違えるほど良くなり、元気も出て、熱も下がり、さっきまでの虚弱さがまるで嘘のように消えたことに気づいた。 わずかな数本の針治療と一杯の薬で、彼は本当に信じがたい回復を見せたのだ! 「栗原さん、良かったですね、やっと目を覚まされました!」 小林も驚きを隠せず、先ほどまで療法士の一清の針治療の技術を疑っていた。 彼女は好奇心から尋ねた。「栗原さん、どこか具合の悪いところは本当にありませんか?」 栗原は水を一口飲み、首を振った。「ないよ、体がかなり軽くなった」 以前患った病気のせいで、いつも胸に圧迫感を感じていたが、今はその圧迫感が不思議と消え、驚くほどの軽さを感じ、深く息をついた。 以前、持病が再発した時には何度も堀川先生の所へで向かい治療を受けていた。先生の薬は効果があったが、今回はそれ以上の効果があった。 彼は思わず小林に尋ねた。「今回は何の薬を飲んだんだ?効果が抜群だったぞ」 「栗原さん、それは私には分かりません。処方は一清さんが持っています」 そこで周りを見回しても堀川先生がいないことに気づき、栗原はさらに尋ねた。「堀川先生は今どこにいる?今回も先生が薬を処方したんじゃないのか?」 小林は一瞬言葉に詰まり、やっと答えた。「堀川先生は今クリニックにいません。用事で出かけていて、しばらく戻って来られないのです。栗原さん、今回は堀川先生ではなく、別の方が治療しました。薬も先生のものではありません」 栗原は驚き、クリニックに堀川先生以上の技術と知識を持つ人がいるとは思えなかった。 「じゃあ、それは誰が処方したんだ?」 「それは――」小林は一清を事をどう説明すべきか迷い、結局一清の方を見たが、部屋にはもう姿がなかった。 一清は先ほど出かけてから戻ってこなかった。 「小林、その一清という療法士は今どこにいるんだ?」 小林も唖然としながら答えた。「一清さんはもう出て行ったのかもしれません」 話が進むうちに、結局その一清が誰なのか言わないままだった。 栗原は眉をひそめ、さらに質問
Read more