共有

第0295話

綿は迷わずM基地に向かった。

彼女はすぐにでも、嬌に関する情報を漏らした犯人を突き止める必要があった。

少しでも理不尽なことには我慢できない!

雅彦は病院の監視カメラをチェックしていた。すべての映像を隅々まで確認したが、院長のオフィスに入った人影は一つも見当たらなかった。

「窓の映像も見てみて」綿が冷静に雅彦に指示した。

雅彦が振り返ると、そこには綿が立っていた。「ボス、いつからそこに?」

「さっきよ」綿は明らかに怒っていて、その言葉には怒りが滲んでいた。

雅彦はあまりにも集中していたため、彼女が来たことに気づかなかったのだ。

「なるほど」と雅彦は言いながら、すぐに監視カメラの映像を切り替えた。そして、綿をちらりと見た。

窓の映像を……待てよ。

「病院の窓って、あの30階以上の?」雅彦は半信半疑で、「ボス、それって狂気の沙汰だよ。陸川嬌を告発するために、わざわざ窓から入るなんて」

それに、入れる場所なんてあるのか?

「小林院長のオフィスの窓の外にはバルコニーがあるから、そこから入ることは可能よ」綿は彼の疑問を一蹴した。

雅彦は急いで小林院長のオフィスの監視映像を引き出した。

ちょうど、窓の外を映す角度のカメラがあった。

その時、綿のスマホが鳴った。それは輝明からのメッセージだった。

輝明「どういう状況であれ、嬌に謝罪して、彼女の気持ちを落ち着かせてほしい」

綿はそのメッセージを見て、思わず大きく目を見開いた。

綿「謝罪?冗談でしょ」

メッセージを送り終えると、すぐに輝明の番号をブロックリストに追加した。

離婚の連絡が必要なときだけ一度ブロックを解除したが、今となっては、再びリストに戻すのが正しい判断だった。

気分が悪くなるだけだ。

前回の離婚話がうやむやになったことを悔やんでいた綿だが、今回こそ匿名の告発文を書いた犯人を見つけ出し、その真実を輝明の前に突きつけ、正式に謝罪させてやるつもりだった。

「見て、影が映ってた」雅彦が窓を指さして言った。

綿は時間を確認した。午前1時。

時間は合っていた。小林院長が告発文を見つけたのは今朝だった。

その影は非常に慎重に動いていて、壁に沿って進み、顔を一度もカメラに見せずに監視カメラの死角に入った。

「見えなくなったな」雅彦が言った。

綿は唇を噛みしめ、顎に手を当てて考え込
ロックされたチャプター
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status