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第0292話

綿は少し驚いた。「……」これって、結局彼女のことじゃない?

「誰が陸川嬌と役割が被ったのか?」

綿は沈黙した。「……」

心臓外科の飾り物みたいな存在、ぶつかったのはやっぱり彼女のことじゃない?

綿はため息をつきながら言った。「小林院長、もうこれ以上推理しない方がいいですよ」これ以上考えたら、自分が犯人になっちゃうから。

確かに、全部が自分に繋がっているようだった。これはかなり厄介な状況だった。

綿は頬杖をつき、深いため息をついた。「週末くらい、ゆっくり寝たいですね」

「それなら、数日休んだらどう?」小林院長が心配そうに聞いてきた。

綿は一瞬戸惑った。何?それじゃ、まるで後ろめたいみたいじゃない!

そんなの嫌だ。休みなんか取らないし、むしろ堂々と毎日みんなの前に出てやるのだ。

「この匿名の手紙、本当に君じゃないよね?」

小林院長も少し疑わしげな顔をしていた。

綿は頭が痛くなった。「……」

「監視カメラを確認しに行きますよ」綿は笑って提案した。

その時、オフィスのドアがノックされた。今回の件の担当者が入ってきた。

「監視映像の結果が出たか?」小林院長はメガネをかけ、期待を込めて尋ねた。

彼がパソコンの前に座ると、担当者は言った。「院長、監視カメラには誰も院長のオフィスに入るところが映っていませんでした」

「え?

「まさか、手紙が足を生えて勝手に入ってきたとでも?」小林院長は苛立ったように言った。

綿は本革のソファに腰掛け、お茶を飲みながら静かに小林院長の様子を見ていた。

初めて、院長が少し抜けているところがあると感じた。意外にも親しみやすい人だなと思った。

今まで、大病院の院長というのは冷たくて近寄りがたい存在だと感じていたが、例えば祖母のように…。

高杉教授は業界内で非常に厳しいことで有名で、皆が彼女を恐れていた。

「この2日間で、僕のオフィスに来た人は誰かいたか?」小林院長が尋ねた。

「えっと…院長ご自身で分からないんですか?」担当者は困惑したように答えた。

小林院長のオフィスには、せいぜい一日に一人か二人しか来なかった。

彼は目を見開いた。「おい、何いってるのか?」

綿は彼らが無駄に時間を費やしているのを見て、外に出た。

廊下に立ち、周囲を見渡した。監視カメラは正面玄関を向いていたので、誰かがこっそり入ってき
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