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第0278話

この森川玲奈、話を合わせる気がないの?

二人は互いに視線を交わし、火花が散るような緊張感が漂っていた。

「お二人とも、こちらをお願いします!」と、突然カメラマンが声をかけた。

玲奈と美和は同時にカメラマンの方を向き、手を取り合って笑顔を見せた。

綿「……」これが役者としてのプロ意識ってやつなのね。

でも、玲奈に比べると、美和はまだまだだ。

玲奈のフリンジドレスはきらびやかで、美和は露出が多いけど、そこまで印象的ではない。二人が並ぶと、どうしても見劣りしてしまう。

綿は思った。もし自分が美和だったら、わざわざ玲奈の隣に立とうとは思わないだろう。玲奈のオーラが強すぎるから。

「玲奈、岩段社長が新しいイメージキャラクターを探してるって聞いたけど、知ってる?」美和が玲奈に言った。

「知らないわ」玲奈は知らないふりをして答えた。

「本当に知らなかったの?」美和は驚いたふりをしてみせたが、すぐに笑顔を浮かべて「まあ、知ってても知らなくても関係ないけどね。私がその仕事を狙ってるから」と言った。

玲奈は美和をちらりと見た。

美和は微笑んで、「玲奈、あなたも狙ってるんじゃないでしょうね?」と問いかけた。

玲奈は心の中で「私がどうするか、あなたには関係ないでしょ」と思いながらも、「ええ、狙ってないわ」と微笑んだ。

その笑顔の裏には、「私と秋年が対立しているから狙わないだけよ」と言いたげな気持ちが隠されていた。

美和がそう言った瞬間、秋年が片手にシャンパンを持って、ゆっくりとこちらに近づいてくるのが見えた。

秋年はリラックスした歩調で、輝明とは対照的だった。輝明はどこへ行っても仕事モードだが、秋年は常に人生を楽しんでいるような雰囲気を持っていた。

秋年がこちらに近づくと、玲奈はすぐに「みなさん、お話を続けて。ちょっと友達を探してくるわ」と言って、彼とすれ違った。

彼女が秋年の前を通り過ぎる際、じっと彼を見つめた。

秋年は眉をひそめ、彼女が綿の方へ行くのを見て、シャンパングラスを置き、後を追おうとした。

すると、美和が声をかけてきた。「岩段社長、お久しぶりです」

秋年は美和を見下ろし、軽く眉を上げた。「君は?」

美和は一瞬硬直した。

彼は自分を知らないの?

「岩段社長、白川美和です」と、美和は丁寧に答えた。

秋年は「ああ、どうも。知らないな
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