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第0286話

山助の大画面iPadで、綿は自分に関するニュースを見つけた。

「豪景苑ホテルの入口で、桜井綿が雨に濡れ、高杉輝明が彼女に傘を差す」

なんともロマンチックな話題だ。

「お前たち、またよりを戻すのか?」山助は心配そうに尋ねた。

綿は頭を抱えて、「違うよ、ただの偶然だよ」と答えた。

そう言いながら、綿は鼻を軽く触った。

この説明は、確かに説得力に欠けるかもしれない。

「もう二度と彼と深く関わるんじゃないぞ、分かったな?」山助は綿を指差し、厳しく言い聞かせた。

綿は素直にうなずいた。

山助はさらに続けた。「離婚成功の1ヶ月まで、あと何日だ?」

「まだ2、3日しか経ってないよ」綿は不満げに口をとがらせた。山助はそんなに自分と輝明が離婚するのを急いでいるのだろうか?

「それはいいことだ。お前がまだ冷静でいるという証拠だ」山助は真剣な表情で言った。「1ヶ月後に離婚しなかったら、針千本だぞ!」

綿はため息をつき、「おじいちゃん、それならもう直接に言う方がいいんじゃない?今言ってることって、私が離婚しないって言ってるようなものじゃない」と皮肉を言った。

綿はサンドイッチを大きくかじり、山助を睨んだ。

ところが、山助はさらに真剣な表情で彼女を見つめていた。

「ああ、もう!おじいちゃん、私は本当に変わったの。もう以前の綿じゃないから、安心して!」綿はそう言いながら、山助の肩を軽く叩き、その場を急いで立ち去った。

この裏庭にはもういられない。

さっさと外に出かけた方がいい。

「おい!じいさんが頼んだ柏花草を忘れるんじゃないぞ!いつまで待たせるつもりだ?」山助の声が背後から響いた。

綿は立ち止まり、そうだ、自分はおじいちゃんに柏花草を見つけてくる約束をしていたのだ。

しかし、M基地には柏花草はなかった。柏花草を見つけるには、どこから探せばいいのか?

その時、ピン——と綿のスマホが突然鳴った。

彼女はトレーを置いてからスマホを取り出した。

見知らぬ番号からのメッセージが届いていた——「神秘7」。

そのメッセージを見た綿は一瞬固まった。

すぐにもう一通のメッセージが届いた——「勝負しないか?」

綿は眉をひそめた。

誰だ……どうして彼は自分が「神秘7」だと知っているんだ?

その番号に電話をかけ直してみたが、繋がらなかった。

再びメッセージが
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