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第0181話

綿は病院に戻る途中、雅彦に電話をかけ、「今日病院で起こった私に関すること、全部ネットから消しておいて」と頼んだ。

「雅彦、絶対に私のことがネットに出ないようにしてね」

雅彦はすぐに「わかった」と返事をした。

病院に戻った綿は、いつも通りの日常が戻っていることに気づいた。

患者は常に入れ替わるため、さっき何があったかなんて誰も知らないのも無理はない。

医師や看護師たちは綿を見ると、皆が尊敬の眼差しを向けていた。あんなに多くの人がただ見ているだけの中、綿だけが飛び出していったのだから。彼女は本当にカッコよかった。

綿が診療所に戻ると、小栗先生に「患者のことには関わるな」と何度も念押しされたのを思い出し、結局関わってしまったことに少し不安を感じた。

小栗先生が自分をどう叱るのか、少し怖かった。

綿は勇気を振り絞って、ドアをノックした。

「入って」と冷たい声が返ってきた。

綿は心の準備をしっかり整えてドアを開けると、小栗先生はただ淡々と彼女をちらっと見て、「仕事を続けなさい」とだけ言った。

綿は意外だった。

昔、祖母の授業中にぼんやりしていると、祖母は容赦なく彼女の手のひらを叩いたものだ。手が赤くなるまで叩かれ、「覚えておきなさい」と言われた。

綿は黙って小栗先生のそばに立った。

一人の患者を送り出した後、綿は小声で「小栗主任、ごめんなさい」と謝った。

「気にしないで。みんなそういう時期を経験してきたものよ」と小栗先生は微笑んだ。

綿を見て、小栗先生は自分がこの業界に入ったばかりの頃を思い出していた。だから、彼女を責めるつもりはなかった。

綿は小栗先生が自分を理解してくれたことに感謝しつつ、これからもっと成長しなければと心に誓った。

夜の仕事が終わり、綿が診療所を出ると、天揚が待っていた。

天揚は手を振り、「綿ちゃん、こっちだ」と呼びかけた。

綿が車に乗り込むと、すぐに「何を食べるの?」と尋ねた。

「中華にしようか?」と天揚が提案した。

綿はうなずき、「何でもいいから、早く食べたい」と答えた。

「どうしてそんなに仕事にこだわるんだ?家でお嬢様としてのんびりしていればいいのに」と天揚は不満そうに言った。

「もう怠け者にはなりたくないのよ」と綿は窓の外の景色を見つめながらため息をついた。「もう何年も無駄に過ごしてきたんだから……」
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