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第0187話

夜は更けていた。

午前0時の病院は静寂に包まれていた。

「後ろめたいことをしていなければ、幽霊が訪れても怖くない」というが、嬌は眠りについた途端、全身に冷たい寒気を感じ、ガバッとベッドから飛び起きた。

空っぽの病室を見回し、窓の外にも視線を送った。息を荒らし、慌ててスマホを手に取り、時刻を確認すると、夜中の12時ちょうどだった。

悪夢を見たのだ。夢の中で綿が彼女の命を奪いに来た。

嬌は唾を飲み込み、眉間を揉みほぐしてから、スマホで輝明にメッセージを送った。

「明くん、まだ起きてる?」

輝明からの返事はなかった。嬌は不安を感じ始めた。

ベッドから降りて水を飲もうとしたとき、病室のドアが突然ノックされた。

嬌は振り返り、「誰?」と声をかけた。

看護師だろうか?病室の灯りが点いているのを見たのか?

しかし、声をかけても、外からは何の返事もなく、ただノックの音だけが続いた。

眉をひそめ、ドアに近づき、ガラス越しに外を覗いた瞬間、突然、女の顔が現れた。

嬌は驚いて後ずさり、身を震わせた。

その瞬間、病室のドアが勢いよく開かれ、同時に病室の灯りが消えた。

室内は真っ暗になり、外の微かな街灯の光が窓から差し込んでいた。顔を上げると、その光の中で彼女ははっきりと見た――それは綿だった!

綿?!

嬌の目は見開かれた。綿の顔は真っ青で、髪も服もびしょ濡れで、まるで溺れたような姿に驚愕した。

濡れている、水が……

嬌は無意識に手を上げた。綿の体から水が滴り落ちているのを見た。

これは……

嬌は目を見開き、息をするのも忘れた。

拳を握りしめ、目の前の人物が虚ろな声で話すのを聞いた。「陸川嬌、命を返して」

「陸川嬌、私にひどい目にさせたわね」

「陸川嬌、どうして殺したの?」

綿は両手を伸ばし、嬌の首に手をかけた。

「違う、あたしは違う、殺していないの!」嬌の声は震え、息が詰まるような感覚に襲われた。

綿が震えながら次第に泣きそうになる嬌を見つめ、口元にかすかな笑みが浮かんだ。

「違うの?じゃあ、なんで私が死んだのよ!あなた、私が水を怖がってるの知ってたでしょ!」綿は抑えきれず、叫び声をあげた。

嬌は震え、彼女から目を背けた。「知らない、知らなかった、桜井綿、あたしが殺したんじゃない!」

綿は黙り込むと、繰り返し言った。「命を返して、
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