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第0057話

「愛娘、あなた本当にすごいわね。雪莲草を本当に見つけたの?!」

母親の声が電話から響いてきた。「嬌、雪莲草がどんなものか見せてちょうだい。早く家に持ってきて」

「嬌、これで陸川家は一段と上に行くわ!友達みんなが電話してきて、雪莲草を見たいって言うのよ!」

嬌は複雑な表情で額に手を当てた。

終わった、これは大事になりすぎた。

どうしよう?

嬌は電話を静音にして投げ捨て、空っぽの部屋を見回し、ここで二度も待ちぼうけにされたことを思い出し、怒りがこみ上げてきた。

なんてこった。

この人が誰なのか突き止めたら、絶対にただじゃおかない。

嬌は立ち上がり、携帯をつかんで外へ出た。

ボディーガードが迎えに来て、嬌の怒りを感じ取り、黙っていた。

カウンターに着くと、嬌はウェイターに止められた。「嬌様」

「何?」嬌の口調は険しかった。

ウェイターは一瞬躊躇した後、指さして聞いた。「開けたワインをどうされますか?」

「何のこと?」嬌はウェイターを頭からつま先まで見渡した。

いつワインを開けたの?

話している間に、後ろからウェイターがカートを押してきて、その上には開けたワインのボトルがずらりと並んでいた。

嬌は呆然とした。このワイン……これは、さっき綿が触ったボトル?

ウェイターは微笑みながら請求書を差し出し、丁寧に言った。「嬌様、これらのワインはすべて開けられました。お会計をお願いします」

嬌は請求書を奪い取り、金額を見た途端、目を見開いた。綿が7本のワインを開けて、それぞれ650万円以上、合計4550万円!

「嬌さん、クレジットカードでお支払いですか?」ウェイターは微笑を崩さない。

嬌の顔はさらに真っ黒になった。

彼女は拳を握りしめ、請求書をぐしゃぐしゃにしそうな勢いで胸が上下に動いた。

綿——!彼女はなんてことを!こんなにたくさんのワインをこっそりと開けるなんて!

ただでさえイライラしていた嬌は、もう頭に血が上って、綿を今すぐにでも殺してやりたい気持ちだった。

M様に会えず、雪莲草を手に入れられず、綿に笑われ、4550万円も支払う羽目になった。そして今、ニュースでは陸川家が高杉美香に雪莲草を贈ると大騒ぎしている。

これ……ああああああ!

綿は運転しながら、くしゃみを一つ。誰かが支払いをしている大ばか者に悪態をついていることは、
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