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第0064話

綿の発言は場内の人々を一瞬にして不満の渦に巻き込んだ。

「何を馬鹿げたことを言っているんだ!あれは陸川家が贈ったもので、おばあさまが大切にしているものだぞ!偽物なわけがない!」

「その通りだ!みんな雪蓮草を見たことがないのに、どうしてそれが偽物だと言えるんだ?」

「最近、外でお前と輝明が離婚する準備をしているという噂が広まっている。もしかして恥ずかしくて、今日はわざと邪魔をしに来たんじゃないのか?」

「お祝いが嘘で、本当は場を乱しに来たんだろう!」

場内の人々の非難と侮辱に綿は拳を握り締めた。美香も眉をひそめ、自分の誕生日祝いが少しでも妨げられることを望んでいなかった。

なにしろ今日来ているのはすべて業界の名士たちであり、さらに今はライブ配信もされているのだ。

もし何か問題が起きたら、皆に笑われることになるではないか?

だが、美香が知らないのは、ネット上でもすでに大騒ぎになっていたことだった。

「陸川家が送ったのは偽物なのか?」

「それって本当に偽物の人参じゃないのか?」

「陸川家が送った雪蓮草は本物なのか、偽物なのか?」

綿は美香を見つめ、内心で怒りを感じていた。確かに自分は輝明と離婚するつもりだが、それでわざわざ邪魔をしに来るほど小さい人間ではない。

彼女は心の中の苛立ちを抑え、静かに言った。

「おばあさん、陸川家が送った雪蓮草は、確かに偽物です」

秀美がその声を聞いて駆け寄り、綿の腕を引いて眉をひそめた。

「綿、こんなに多くの人の前で陸川家が送ったものが偽物だなんて言うなんて…」

さっきは多くの人々が美香が雪蓮草を見られることに歓声を上げていたのに、今になってそれが偽物だと言うなんて?

美香の態度はどうでもいいが、これでは美香の面子が潰れてしまうではないか?

秋年も状況がまずいと感じ、急いで輝明に電話をかけた。「輝明、どこにいるんだ?どうしてまだおばあちゃんの誕生日祝いに来ないんだ?」

「仕事は少し後回しにして、早く会場に来てくれ。お前の妻と嬌が喧嘩を始めるぞ!」

嬌は皆が自分の味方をしているのを見て、先入観があるに違いないと考えた。

ましてや皆が雪蓮草を見たことがないのだから、本物だと主張するしかない。

「私が送ったのは偽物なんかじゃない!綿、あんたはただ輝明と私が親しくしているのを嫉妬して、だから私を中傷しているん
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