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第 0305 話

琥珀路を二台の車が疾走している。二人は前後を交代しながら、一進一退の攻防を繰り広げていた。

今日は綿が怒りを抱えているせいで、運転も荒々しい。しかし、数年前に比べると技術がかなり落ちている。

この青い車は、綿に刺激を与えていた。盤竜路でのあのレースよりもずっと面白い。少なくとも、このドライバーには強敵の風格がある。

再び青い車が綿の車と並ぶ。ナビゲーションには、前方のカーブを抜ければゴールと表示されている。

綿は唇を引き結び、両手でハンドルを握りしめ、その車を深く一瞥した。

ちょうどその時、あちらの車の人物もこちらを見てきた。綿は漆黒の瞳を捉えた。

次の瞬間、その車は一気に加速。綿の目が鋭く光り、すぐさま後を追ってアクセルを踏み込む!

ゴールまでの距離が縮まる中、レースはますます白熱していく。

観客の歓声の中、二台の車はほぼ同時にゴールラインを突き抜けた。

「誰が勝ったんだ?!」

「うわ、同時にゴールしたみたいだ!誰か見た人いる?」

「ああ、もどかしい!」

選手たちは居ても立ってもいられないように興奮し、誰が勝者かをすぐにでも知りたがっていた。

綿は車を停め、大きく息をついた。そしてシートにもたれかかる。

自分が証拠を輝明に叩きつけたこと、みんなに自分が無能ではないと伝えたこと、四千万円で陸川易を侮辱したことを思い出すと、これ以上ない爽快感が彼女を包んだ。

何年もの鬱屈を経て、ようやく彼女はヒロインの座を取り戻したのだ!

綿はパーカーのフードを深く被り、琥珀路のレース会場から足早に姿を消した。

青い車の人物が追いついたとき、綿の車はすでに空っぽだった。

彼は周囲を見回し、綿の姿を探したが、どうしても見つからない。

彼は顔を上げて大スクリーンを見つめ、そこには綿の車が映し出されていた。

勝者は——綿だった。

……

翌朝、綿は早起きしてヨガのストレッチを行った。

髪を無造作にまとめ、リネンのカジュアルな服を着て、階下で朝食を取りながらニュースをチェック。全身が清々しい気分だ。

「おや、今日はずいぶんと調子がいいじゃないか?」天河は階段を降りてきて、綿の姿に驚いた。

綿は眉を上げて、「おはよう、パパ」

後ろにいた盛晴も思わず立ち止まった。その元気いっぱいな姿に驚きを隠せない。

「何かショックなことでもあったのか?」天河
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