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第 0304 話

そして安全通知にサインをし終えた。

綿が名前を記入していると、後ろから黒いスポーツウェアを身にまとった男がやって来た。彼は身長185センチほどで、キャップを深くかぶり、その冷酷な雰囲気が際立っていた。

男もサインをした。「商」と。

「よし、君たち、次のラウンドに準備しておけよ」と、レースの担当者が告げた。

綿はウォーミングアップをしていたが、男は綿のすぐ隣に立っていた。綿は彼をちらりと何度か見た。彼はうつむいていて、キャップが顔の半分を隠している。

しかし、その高い鼻筋とセクシーな唇から、彼がイケメンであることは一目瞭然だった。

男が顔を上げたとき、綿はちょうどストレッチをしていて、二人の視線は交わることがなかった。

すぐにレースが始まった。綿は緑色のレーシングカーを借りた。

出場者は4人。琥珀路のコースは、前回の山と比べても決して劣っていない。技術と経験が試される場所だ。

すでに走り終えた何人かの選手たちは、側でぶつぶつ言っていた。「え、女が出てるのか?」

「ほんとだよ。女のレーサーなんて久しぶりだな。前に見たのは神秘7くらいだ」

「おい、神秘7がいないレースなんて、全然つまらないよな」と他の選手が言うと、みんな笑い出した。

「そうだな、神秘7はどこかに消えちまって、誰も見つけられないからな」

その間に、レースがスタートした。

綿の緑色の車は一瞬の迷いもなく、スタートダッシュを決めた。

その場の誰もが驚いた。「なんて強引なスタートだ!」

「まるで怒りを抱えてるみたいだな」

「はは、周りを完全に混乱させやがった」

他の選手たちは慎重にスタートしていたが、綿はアクセルを全開にして走り出した。

後ろの車に乗っていた選手たちは口々に「くそっ!」と叫んだ。

コースは長く、序盤は皆お互いの動きを見ながら走り、中盤以降に追い抜きを仕掛けるのが常だ。だが、綿の大胆なスタートは、他の選手たちのリズムを一気に狂わせた。

やがて、青い車が追い上げてきた。綿は隣を見ると、さっきストレッチしていたあの男だった。

彼はまた横顔だったが、その長いまつげからして、彼は「濃い顔立ちのイケメン」であることがはっきりわかった。

綿は心の中で、この男と本気でレースをしたいと望んだ。

そして、彼女は加速した。

予想通り、その男も加速し、二人の激しいバト
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