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第 0308 話

綿と司礼は最後列に座った。隣にはちょうど熱愛中のカップルがいた。

「屋上に美味しいレストランがあるんだけど、この後一緒に行かない?」と司礼が綿の方に顔を寄せて言った。

綿は頷いて、「いいわ」と答えた。

司礼は微笑んで、「わかった」と言った。

楚は思わず彼を見つめた。

彼は本当に彼女に良くしてくれる。

でも、綿は彼に対して胸がときめく感じがしない。

このままずっと彼と曖昧な関係を続けるのも、良くないかもしれない。

綿はため息をつき、せっかくのリラックスタイムなので深く考えないことにした。

しかし映画が半分を過ぎ、内容がロマンチックになると、場内の雰囲気もそれに伴って甘くなってきた。

綿は隣からキスする音が聞こえてきたことに気づいた。

彼女は唇を噛み、そっと右を見ると、やはり若い二人が熱烈にキスをしていた。

綿は黙ってポップコーンを口に入れ、前方を見ると、一番右の席でもカップルがキスをしているのを見つけた。

彼女は黙り込んだ。自分の視力、くそっ、良すぎる!

「私、何年も映画を観に来ていなかったけど、今はみんなこんな感じなの?」綿は小声で司礼に尋ねた。

司礼は困った顔で、「実は僕も長い間映画を観ていないんだ」と答えた。

二人は顔を見合わせ、しばらくして笑った。

「なんだか急に、自分がロマンチックを理解していない気がしてきた」と綿はため息をついた。

おそらく、これまでの結婚生活が自分の角をすり減らしたのだろうか?

「綿、いつでも自分を大切にしなきゃ。ロマンチックでも平凡でも、それは君がどう見るか、どう行動するか次第だよ」と司礼はとても優しく言った。

綿は思わず彼の目を見つめた。

暗い映画館の中、彼の綿を見る目には忍耐と好意が溢れていた。

彼は本当に感情が安定していて、話すときも筋が通っている。

でも、なぜ胸がときめかないのだろう?

「聞こえた?」彼は尋ねた。

綿は目を上げて微笑み、「聞こえたわ」と答えた。

彼の言うとおりだ。ロマンチックというものは、自分がどう見るかにかかっている。

たとえば隣で熱烈にキスしているカップルを異様な目で見れば、それは奇妙に感じる。

でも優しい目で見れば、それは熱い青春だ。

愛する人と映画を観て、映画館でキスをする。それは勇敢でロマンチックなことじゃないか?

「ありがとう、先生。とても勉
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