第4話

骨壷が地面に激突し無数のひびが走った。宝石や翡翠が四方に散らばり部屋中に大きな粉塵が舞い上がった。全員が反射的に口と鼻を押さえた。

乱闘していた親戚たちも手を止め、これ以上ここにいれば大事になりかねないと悟ったのか次々と逃げ出していった。

それでも奈奈だけはまだ怒りを抑えきれずに叫び続けていた。

「死んでしまえ、狐女！お前もお前の母親も、呪われてるんだ！死んでも骨壷に入れるな！」

「誰が死んでもいいって？」

奈奈が狂ったように叫んでいるその時、翔太が現れた。

翔太は眉をひそめ、苛立ちを隠しきれない様子で部屋に入ってきた。

「桜子、俺に会うためにわざとこんな芝居を打ったんじゃないだろうな？お前の母親はもう亡くなってるはずだよな？」

言葉が終わるか終わらないかのうちに、奈奈の甘ったるい声が響いてきた。

奈奈は手の埃を払い、翔太に駆け寄って腕を絡ませ、その頭を彼のスーツに埋めた。

「翔太さん、どうしてこんなに遅いの？この田舎女にいじめられそうだったわ！」

「田舎女」という言葉を聞くと、翔太の眉間が少し寄り、無意識に私に視線を送った。

翔太が私のことを無視しているのを見て、奈奈はさらに翔太に体を寄せ、甘えた声で言った。「ベイビー、あなたと彼女のことはもう気にしないわ。だから、その1600万円、早く返してもらって。ちょうどそのお金で会社の近くに小さいマンション買ってもらえない？どう？」

奈奈がまだ嬉しそうに空想している間に、私はすでに着替えて立ち去ろうとしていた。

翔太は「1600万円」という言葉を聞いて、ようやく本題に気づき、私を引き止めて尋ねた。「どういうことだ？誰が亡くなったんだ？お金は一体何に使ったんだ？」

私は奈奈が床に叩き落とした遺影を見つめ、唇を少し上げて笑った。

彼は自分の母親の葬儀だと気づいていなかったのだ。

この家は私が全額支払って購入したもので、ただ義母が後から住み始めただけだったから、翔太は当然私が自分の親戚の葬儀をしていると思い込んでいた。

それどころか、彼はさらに私を非難し始めた。まるで私が義母の家を占領しているかのように。

「それにしても、お前がここで葬儀をするのにうちの母さんの許可は取ったのか？こんな不吉なこと、なぜ勝手に……」

「お母さんが亡くなる前に自分で選んだんだ。特注の骨壺に入りたいってね。壺だけ