第9話

窓の外を流れる景色を眺めながら私は心の中で冷笑した。

1600万円はもう粉々になった。返品などできるわけがない。これが翔太と義母への報いだ。

次に報いを受けるのは翔太とあの畜生どもだ。

私は、今回の結婚式で監視カメラに収めたすべての映像と傷害鑑定の結果を提出した。

奈奈が現れたのは予想外だったが、翔太の実家に行くことはもともと私の計画の一部だった。

前回の婚礼の騒動では、村には監視カメラがなく誰が参加していたのか証拠を示すことができなかった。

今回、私は義母の携帯を手に入れるためと予期せぬ事態に備えて自ら罠に飛び込み、彼らを再び犯罪を犯すよう誘導することにした。

そして私の思惑通りすべての行為が高解像度のカメラで記録された。

私は奈奈のような馬鹿を一人余計に収穫できたことに驚いた。

翔太がどうして彼女に惹かれたのか私には理解できなかった。

それは翔太も同じような馬鹿だからだろう。そして、本当に目が曇っていたのは若い頃の私だけだ。

自嘲気味に笑った。私が払うべき代償はもう払った。次は彼らの番だ。

調書を終え外に出るとすでに空は暗くなっていた。ふと携帯を見ると翔太からメールが届いていた。

彼は離婚協議書を拒否し、珍しくメッセージを送りつけてきた。

「桜子、昔に戻ろうよ。今俺には君しかいないんだ」

「桜子、辛いよ。君に会いに行ってもいいか？もう一度やり直そう」

「桜子、家の暗証番号、どうして変わったんだ？」

「こっちに来てくれないか？君はまだここに来たことがないだろう？俺、君の誕生日を暗証番号に変えたんだよ」

「桜子、どうしてまだ来ないんだ？まさか奈奈に嫉妬してるのか？もう彼女とは完全に縁を切った。この件で彼女にしっかり報いを受けさせるから」

「もう、僕たちの間に誰もいないんだ。戻ってきてくれないか？」

その後、彼はどうやら酔っ払ったようで、60秒のボイスメッセージを送り始めた。

私は少し驚いた。何しろ翔太がこんな風にメッセージを送ってくるのは3年ぶりのことだった。

ぼんやりと、私たちが恋仲だった頃のことを思い出した。彼はこんなにも私に執着して私が返信しないと、すぐに不満そうに何度もメッセージを送り続けたものだ。

再び画面いっぱいに広がる彼のメッセージを見ても今では何も感じない。

私は彼に法廷への出廷通知を送ってから彼の連絡