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第67話 何様のつもりだ

鈴楠の電話を、彼が一度も受け取ったことがないような気がした......

勉志がためらいながら口を開いた。「以前、一度お伝えしたことがあります。ただ、その時あなたが、こんな些細なことはもう言わなくていい、とおっしゃいました。そして、私や佐藤さんの前で、景園に関わる事は、橋本さんに関係すること以外は、重要でない限り直接私に連絡しろと仰っていました。だから......佐藤さんは、直接あなたに電話をしなかったんだと思います......」

声が次第に小さくなり、勉志は慶一が沈んだのを気づいた。

慶一は眉間を揉みながら、当時の状況を思い出した。景園の家で、彼の頭は橋本苑里が過失血で救えるかどうかでいっぱいだった。そして、あの期待から冷めていく瞳を無視していたことに気づいた。

ただ、彼女が望んでいた名ばかりの結婚を与えれば、彼女の血と心を好き勝手に消耗してもいいとでも思っていたのだろうか?

胸が突然鋭く痛み、息苦しくなるほどの重さを感じた。

だから、彼女は細かいことに気を配っていたのに、次第に心が冷めていった。すべてが、ようやく答えを見つけたようだ。

「社長、会議は......」

「鈴楠に会う時間を取っておいて。話したいことがある」彼は鈴楠が自分の電話に出るはずがないと分かっており、無理に会いに行けば反感を買うだけだとも理解していた。

「これまでの返答は一貫して、佐藤さんは時間がない、ということでした」勉志は思わず口を開いた。

慶一の冷ややかな視線が彼に向けられると、林勉志は背筋が凍りつき、すぐに言い直した。「ですが、引き続き連絡を取り続け、必ず時間を確定させます」

「出て行け。会議は予定通りやろう」

「はい、社長」勉志はほっと一息つき、恭しく部屋を出た。

どうして今さら?

離婚した後に思い詰めても、何の意味があるのだろう?

佐藤グループでは、藤原のお爺様を送り出してからわずか数分で、和也は鈴楠のオフィスに戻り、先ほどの話を漏らさずに報告した。これで彼女があらかじめ対応できるようにした。

鈴楠は話を聞き終え、冷たい笑みを浮かべた。その笑みの中には冷酷さが垣間見える。藤原老爺は昔から彼女を軽蔑していた、対処の仕方も一筋縄ではいかないだろうが、まさか彼女の私生活にまで手を伸ばすとは思わなかった。

大富豪の嫁への道を切ろうとするとは?

なんて手厳し
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