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第103話 謝るつもりはないのか

翔太は鈴楠の手にあるスマホをじっと見つめた。

うん、間違いない、確かに自分のだ!

佐藤家では、鈴楠が家族全員のパスワードを覚えやすいように、みんな彼女の誕生日をパスワードにしていた。

そのため、鈴楠はまったく気にせずに支払いを済ませていたのだ。

翔太は口元を引きつらせながら、ふと、節約してヨットを買おうとしていたあの妹が懐かしくなった。

80億円の額は彼にとっては大したことではなかったが、それでも一度に消えてしまうと、少し物足りなさを感じずにはいられなかった。

彼は胸を押さえながら自分に言い聞かせた。

「まあ、妹のためだ。いくら使おうが気にすることじゃないさ」

それに、たった80億円だ。

妹が喜んでくれるなら、それでいい。

小虎はすっかり懐いており、翔太の膝に頭を乗せて甘えてきた。

翔太は気を紛らわせるように、小虎を抱きかかえ、他の場所へ遊びに連れて行った。

その日の午後、ネットでは鈴楠への批判が飛び交っていたが、それ以上に注目を集めたのは「お金持ちのbaby」という名前で、一気にトレンドのトップに躍り出た。

「初めて見たよ。お金持ちって、本当に値段を気にせず物を買うんだな」

「本当にお金持ちの人って、自分の名前にまでお金持ちを使うんだな」

「この人が何歳だろうと関係ない。絶対結婚したい!むしろ俺が嫁ぎたいくらいだ!」

「この『お金持ちのbaby』って、一体誰なんだ?」

鈴楠は送り先を手配して満足げに翔太のスマホを置き、自分のスマホを手に取った。

そこには7件の不在着信が表示されていた。

慶一から1件、藤原老爺から4件、美優と意志からそれぞれ1件ずつ。

美優に折り返そうとしたら、再び電話が鳴り響いた。

また藤原老爺だ。

鈴楠の唇に冷ややかな笑みが浮かんだ。

そんなに急ぎなのか?

彼女を追い詰め、世界中から非難されるよう仕向けたのは彼だが、彼女には翡翠の煙管という最強の切り札があるため、怖いものなど何もなかった。

鈴楠は少し考え、気だるそうに電話に出た。

「もしもし?」

執事はほっと息をつき、藤原老爺に興奮気味に報告した。

「会長、彼女が電話に出ました!」

鈴楠はその言葉に軽く笑った。

藤原老爺は執事を一瞥し、悠然と電話を引き取った。

「鈴楠、過ちを認める気はあるか?」

過ち?

鈴楠は少し眉をひそめ、す
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