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第66話 門をくぐらなきゃ!

「晋也は能力が優れていて、お前の若い頃を思い出させる。そんな女に足を引っ張られて、大事なことを台無しにするんじゃないか?」

「ただの女だ。何をどう台無しにするというんだ?」義雄は冷笑を浮かべた。

藤原老爺は意味深な目つきで鈴楠を一瞥し、口を開いた。

「この女は一筋縄ではいかない。離婚したばかりなのに、すぐに晋也に大事にされ、佐

藤グループの副社長まで登り詰めた。地位は彼に次ぐほどだ。いずれはお前の会社で好き

放題することになるだろう。お前が会長として、黙って見過ごしていいのか?」

普通の人なら、藤原老爺のこんな言葉に焦ってしまうかもしれない。

だが、残念ながら義雄は普通の人間ではなかった......

彼はのんびりと数回笑い、淡々と応じた。

「藤原会長、自分のことに集中したらどうだ?晋也の目は確かだと信じているよ。

おっと、魚が掛かった。これで失礼する......」

電話が切れると、藤原のお爺様の顔色は見事に変わり、内心で悪態をついていた。怒り

に燃える目で鈴楠を睨みつけた。彼女を見逃してはいかないと思っていた。

「運がいいじゃないか。しかし、これで一安心だと思うか?お前、佐藤家の門がそん

なに簡単にくぐれると思っているのか?義雄の手腕は、お前が想像しているよりもは

るかに厳しいぞ!」

鈴楠は微笑し、「それは心配ご無用です。なぜなら......」と少し間を置き、目を輝か

せながら続けた。「佐藤家の門は、どうしてもくぐらなければならないの!」

いずれ身分を明かすことになるが、その時藤原老爺がどう思うのか、少し興味がある。

藤原のお爺様は鼻で笑い、彼女の無謀な考えを嘲り、まだ何か言いたそうだったが、鈴

楠にはもう相手をする気がなかった。藤原お爺様が佐藤義雄に電話したのが、彼の最後の

切り札だったのだろう。それ以上考える必要はなかった。

「藤原会長、他に用事がなければ、秘書に見送らせます。私は会議があるので」

鈴楠は笑顔を見せつつ、丁寧だが距離感を感じさせる態度で彼らを見送った。瑛美

は悔しそうな表情を浮かべながら、言いたいことが喉元まで出かかっていたが、何かに気

を使ってか、それを押し殺すようにして黙り込んだ。藤原老爺は腹立たしげに冷たい視線

を投げつけた。「本当に手に負えん奴だ!」と吐き捨てた。

鈴楠は内線を押し、秘書の和也が姿を現し、恭しく
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