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第25話 彼女は違う

サークルは違うが、多少なりとも関わりはあり、圭一と意志はお互いに顔見知りだった。

 意志が圭一に気づくと、彼の背後にいる慶一にも気づいたが、意志はただグラスを持ち上げて挨拶しただけだった。「偶然だな、中川さん」

圭一は、鈴楠と美優たちが意志と一緒に座っているのを見て、彼らが一緒に来たのだと分かり、慶一を引っ張って近くの席に座りながら、「一緒に1ゲームどうだい?足立さん?」と言った。

意志は答えず、鈴楠に顔を向けた。「女王様、どうですか?」

鈴楠は無表情で立ち上がり、「ご自由に。私は下でバンドを見に行くわ」

美優はすぐに立ち上がり、「行こう、行こう。ここは空気が悪いわ。いつまでもしつこい奴がいるものね」

智子はすぐにいい酒を3本持ってきた。「私も行くわ!」

慶一は鈴楠の姿が消えるまで見つめ、それから意志に視線を向けて、「鈴楠と足立さんはどういう関係?」と尋ねた。

意志は首を傾げて冷笑し、「友人さ」

「彼女みたいな人が足立さんと友達になれるわけないだろう?彼女に丸め込まれたんじゃないか?」圭一が話し終わらないうちに、慶一に遮られた。

「圭一」

意志は冷たい目で圭一を見つめ、「彼女がどんな人か、中川さんは知っているのか?」

「俺は......」圭一は反論できず、慶一も助けてくれないため、少し不満を感じたが、意志に鈴楠の悪事を言いふらすわけにはいかなかった。

「ドーン——」下から轟音のような音楽が鳴り響き、夜の会場は一気に最高潮に盛り上がった。

続いて、馴染みのあるメロディが流れ、「クレイジーバンド」が3年ぶりに再結成し、その場を一気に盛り上げた。みんなは歓声を上げ、体を揺らし、ステージ上の人を仰ぎ見た。

圭一は驚きを隠せず、「クレイジーバンドが活動を休止してたって聞いてたのに、なんでここに?ある番組でオープニングを頼まれても、9桁の金額でも引き受けなかったはずだ。なのに、このバーに来るなんて?」

「クレイジーバンド」は3人組だが、その場にいたのは2人だけだった。しかし、その2人だけでも十分に熱狂させる力があり、観客の気持ちを掌握していた。

美優は下で歓声を上げ、叫び続けていたが、智子が鈴楠を裏に連れて行ったことには気づかなかった。

「あと3分でこの曲が終わる。魔崎さんは盲腸炎の手術で来れなかった。バイオリンがなければ、この曲の魂が失われ
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