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第397話

里香は「わかった」と頷き、かおるを見て「行こう、一緒に来て」と声をかけた。

「ダメだ!」

「嫌だ!」

同時に響いた二つの声。一つはかおるの声で、彼女は雅之を嫌悪の眼差しで睨みつけた。

「あんな男と同じ屋根の下なんて絶対嫌。夜中に我慢できなくてナイフで刺しちゃうかも。そうなったら、刑務所行きだしね」

雅之は冷ややかな表情で「地下室に放り込んで、あの数人と一晩過ごさせればいい」と言い放つ。

「お前!」かおるは怒りで爆発しそうになった。

里香は慌てて「じゃあ、まずかおるを家に送るよ」と提案した。

その時、月宮が口を挟んだ。「俺が送っていくよ」

かおるは疑いの目で彼を見つめ、「なんでそんなに親切なの?」と問い詰めた。

月宮は呆れたように笑って「俺が助けたのに、親切じゃないってか?」と返した。

かおるは何かを小さくつぶやいたが、誰にも聞き取れなかった。

里香は少し考えてから「やっぱり私が送るよ。ちゃんと家に着くまで見てないと心配だし」と言った。

月宮は「かおるを助けたのは俺だろ?まだ安心できないって言うのか?」と軽く笑いながら言う。

里香は唇をかみしめたが、雅之が「月宮に任せておけば心配ない」と言ったため、やむなく納得した。

かおるも「今日は一日中大変だったんだから、あなたも疲れてるでしょ?早く帰って休んで、明日また会おう」と優しく促した。

「わかった」と里香は小さく頷いた。

かおるが月宮の車に乗り込むのを見届けた里香は、ようやく雅之の車に乗り込む。月宮の車が見えなくなるまで、ずっとその後ろ姿を見つめていた。

雅之はそんな彼女を見て、少し冷やかに「月宮の見る目はそんなに悪くない」と言った。

里香はその言葉に眉を寄せ、「かおるだって、ゴミ捨て場からゴミを拾うようなことはしないわ」と遠慮なく言い返した。

「フッ!」雅之は鼻で笑い、車をスタートさせる。二人の間には終始張り詰めた空気が漂っていた。

外はすっかり暗く、両側には手を伸ばしても何も触れないような深い闇が広がっている。

二宮家に到着し、里香が車を降りるとすぐにスマホが鳴った。画面を見ると月宮からの着信だった。

月宮が里香に電話するはずがない。だから、電話の相手は間違いなくかおるだ。

「もしもし?」と電話を取ると、かおるの声が聞こえた。「里香ちゃん、無事に家に着いたよ。もう心配し
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