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第215話

里香はイライラしていた。雅之が電話をかけてくる理由が全く理解できなかった。何を話すことがあるっていうの?

雅之の態度はもう明らかだ。彼は夏実の味方だ。それなら、どうしてまだ彼女に絡んでくるの?本当に最後までクズ男になるつもりなの?

でも、そんな遊びに付き合う気は全くなかった。里香は思い切ってスマホの電源を切り、そのまま寝ることにした。

最初は眠れないかもしれないと思っていたけれど、心の中に他のことがあったおかげか、意外と雅之のことをあまり考えずに済んだ。

一晩ぐっすり眠れた。

冬木。二宮邸。

雅之は電話から聞こえてくる冷たい「電源が入っていません」というアナウンスを聞き、怒りにまかせてスマホを叩きつけ、粉々にしてしまった。

彼の全身から冷気が漂い、まるで氷のように冷たかった。

里香は逃げたのだ!まったく、なんて度胸だ!こんなことをして、全てから逃れられると思っているのか?甘すぎる!

雅之は一度深呼吸して感情を落ち着けると、すぐに聡にメッセージを送った。

雅之:「里香の居場所を調べろ」

聡:「明日でもいいですか?今、眠いんですが」

雅之:「今すぐだ!」

聡:「こわいこわい、そんな態度じゃ女の子にモテませんよ」

【聡から位置情報を送信しました】

雅之が怒り出すのを恐れたのか、聡はふざけたメッセージを送った直後に、すぐに里香の位置情報を送ってきた。

聡にとって、人の居場所を追跡するなんて朝飯前のことだった。

ジャングルの中にでもいない限り、どこにいても見つけられる。

雅之は地図を開き、表示された場所を確認すると、目を細めて考え込んだ。

翌日。

桜井は一冊の資料を雅之の前に置きながら言った。「社長、これは安江町の開発に関する全てのプロジェクト資料です。安江町はこれまで貧困で遅れていましたが、天然資源が豊富で、観光地として開発すれば経済を活性化できます。安江町の偉いさんたちはこの改革に非常に期待していて、ぜひ社長に直接現地を視察していただきたいとのことです」

雅之は淡々と資料に目を通し、「お前が手配しろ」と冷静に指示した。

桜井は頷き、「承知しました」と答えた。

このプロジェクトに関わることで、DKグループは安江町の最大の投資家となり、様々な政策の恩恵を受けることができる。これは、DKグループに戻ってきたばかりの雅之にとって、
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