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第173話

翌日、会社に着くと、またもや雑多な仕事の山が里香を迎えたが、今日は全然腹も立たず、昼食が来るのを楽しみにしていた。

昼になり、祐介から電話がかかってきて、「結果が出たよ」って報告があり、報告書も里香のメールボックスに送ってくれた。

「ありがとう、祐介兄ちゃん!」

里香ははしゃいでいてお礼を言った。

でも、祐介は落ち着いた口調で「どの野菜に毒があるって分かっても、君の無実を証明するわけじゃないんじゃない?」と話した。

里香は一瞬、言葉に詰まった。「私が買った野菜はスーパーで手に入れたものだから、スーパーで問題があったのかも。監視カメラを確認しに行かなきゃ」

祐介は「もう何日も経ってるから、ちょっと厳しいかもね」と言った。

里香は唇を噛んだ。その日すぐに確認していれば、もっと簡単だったのかもしれない。

でも、里香にはどうしても行かなければならなかった。

祐介はのんびりとした口調で、「十食分追加してくれるなら、考えてみてもいいけど?」と言った。

里香は思わず苦笑いした。「祐介兄ちゃん、家にはシェフがいないの?」

祐介は「やるか、やらないかだ」と言い放った。

「やるよ」

里香は即答した。一食分でも十食分でも、里香にとっては同じことだった。

しかも、それが本当に簡単だと思っていた。祐介が里香に無理をさせず、心の負担を減らすために一番簡単な方法を選んでくれたことが嬉しかった。

祐介は「じゃあ、待ってて」と言い、電話はすぐに切れた。

里香はため息をつき、メールを開いてみると、毒のある野菜はすべて里香が後から買い物かごに入れたものだとわかった。

里香はその日のことを思い出そうとした。確か、野菜を取ったあと、誰かとぶつかって野菜が落ちて、その人が拾ってくれたことがあった。

もしかして、その時に何か起こったのか?

でも、里香はその人の顔を全く思い出せなかった。

里香は手で眉間を押さえた。その時、スマホが鳴り、警察署からの電話だった。

料理の検査結果が出たので、来てほしいとのことだった。

里香は立ち上がり、マネージャーに休暇を申し出た。

マネージャーは里香に目も向けずに、「今は勤務時間中だ。勝手に離れることは許されない」と言った。

里香は「だから、休暇をお願いしてるんです」と言った。

マネージャーは「仕事が山積みだ。私たちこんなに忙し
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