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第61話

手を洗ってリビングに戻ると、美緒はソファに座って水を飲んだ。目をやると、そばに置いてあったタブレットが目に入った。少し考えてから、手に取って指で軽くスワイプした。

Xの画面を開くと、彼女は頭を下げ、指の関節を唇に当てながら、バラされた情報を真剣に見つめた。

先ほどは耀介のことがあってよく見ていなかったが、大まかには三人の大学時代のことについてだと分かっていた。文脈を無視して都合よく解釈し、事実を歪めていると言えるでしょう。

しかし、彼女が面白いと感じたのは、これらのゴシップが哲也や綾子といった当事者の口から出たものではなく、傍観者の立場を借りて、彼らの大学の同級生やいわゆる共通の「友人」たちによるものだったことだ。

最初は少し腹が立っていたが、読み進めるうちに怒りは消えていき、ただ滑稽で嘆かわしく感じるだけだった。

それらの名前は見覚えがあるだけで、中には顔さえ思い出せない人もいた。

彼女のような性格は、孤独を好むというわけではないが群れるタイプでもなく、ほとんどの時間を大量の実験や外出してデータ収集に費やしていた。キャンパスで無意味な社交活動をする暇なんてなかった。しかし今、「証言」として飛び出してきた人々は、まるで彼女のことをよく知っているかのように、綾子と哲也が大学時代にいかに相思相愛で生まれつきお似合いのカップルだったか、そして彼女がいかに他人の感情に割り込み、愛人になったかを生々しく描写していた。

彼らの描写では、彼女こそが愛人で、しかもその二人の善良さゆえに、彼女を傷つけたくないという思いから、依然として友人として扱い、彼女が最も困難で落ちぶれていた時に、過去のことは水に流して身近に置いてくれたのに、ここ数年、感謝するどころか会社のデータと綾子の心血を盗み、恩を仇で返したというのだ。

これはまさに「農夫とヘビ」の物語だ!

彼女は夢中になって読み進めた。最初は少し腹が立ったが、次第に落ち着いていき、ほとんど傍観者の立場になって作られた物語を見ているような気分になった。そもそも、自分はそんな人間ではないし、そこに書かれていることは自分がしたことでもない。

「ご飯ができたよ」

料理の香りが漂ってきた。耀介がスープを持ってダイニングテーブルに置き、彼女を呼んでから、また台所に戻って料理を運んだ。

彼女が手伝おうとすると、彼の目付きで制止さ
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