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第12話

結婚式の準備をしているとき、母から衝撃的な知らせを受けた。

 直樹が自殺したって。

 十五夜に亡くなったそうだ。

 彼の両親の悲痛な叫びは、心に深く響き、痛みを伴った。

 父は急いで服を着て向かい、二人の高齢者に何かあったら大変だと心配していた。

 直樹の机の上には遺書があり、「もしやり直せるなら、よかったのに」と書かれていた。

 彼が再び生まれ変わるかどうかは、私にはもう関係ない。

 自己中心的な彼のような人は、何度生まれ変わっても完璧な人生を得ることはないと理解している。

 人生は本来、後悔で満ちたものだけど、彼は全ての過ちを他人に押し付けるだけだ。

 こういう人には幸せは訪れない運命だ。

 しばらくして、彼の両親は私の家の隣から引っ越して、彼らの広い別荘は完全に空っぽになった。

 私の結婚式はクリスマスの日に予定通り行われた。この日は智也と出会った日でもある。

 学生時代に知り合った友人たちを全員招待して、結婚式を開いた。

 高校の担任が私の手を握り、目を輝かせながら言った。「本当に良かった。あなたは高校のときから成功すると確信していたよ。負けず嫌いのあなたなら、夢を叶えられるはずだ」

 みんなは直樹のことには触れず、静かにしていた。

 結婚式が始まり、司会者が誓いの言葉を読み上げ、智也がゆっくりと私に指輪をはめ、みんなの祝福の声の中で私の唇にキスをした。

 支えてくれた全ての人を見ながら、突然、由美が私を嘲笑った言葉を思い出した。

 「菜乃、青春は一度きりなのに、あなたは何も冒険できてない。本ばかり読んでいるから、彼が好きになるのも無理だよ」

 彼女がその「冒険」の後に後悔しているかどうかはわからない。

 でも、私が確信しているのは、青春時代に努力した自分に心から感謝しているということ。

 そのおかげで、今は無限の可能性を選ぶことができる。

 私は自由に、自分の人生を楽しむことができるのだ。
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