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第198話

結局のところ、あの養父母が紗希の妹を養子にしたのだ。

後に妹を虐待したとはいえ、養父母の義姉、つまり今の伯母が紗希を引き取った。

平野は橋本家が妹を育ててくれた恩は認めていた。

だが、まさかこの養父母がこんなにも強欲で、また紗希を脅しに来るとは思わなかった。

これは許せない。

紗希はドアを閉め、ソファに座って言った。

「団地の取り壊しが通知されてから、こういう日が来ると分かっていた。養父母が絶対にこの家を奪いに来る」

利益の前では、親戚でさえ仲違いするものだ。

まして養父母は元々そういう人たちだ。

平野はきっぱりと言った。

「紗希、心配するな。この件は俺が解決する」

こういう人たちに、何も考慮する必要はない。

そのとき、伯母は台所から出てきて、心配そうに言った。

「紗希、彼らが一度来たということは、必ずまた来るわ。どうやってここに住んでいるのを知ったのかしら?私は誰にも言っていないわ」

「私はどうやって知ったか大体分かる。でも、ここを見つけても問題ない。私たちが譲歩しなければいいだけだから」

紗希は養父母が絶対に玲奈から情報を得たのだと考えていた。

結局、養父母が仕事場を見つけたのも玲奈の仕業だった。

平野も心配する伯母を慰めた。

「伯母さん、心配しないで。こういうことは俺に任せて」

「平野、あなたは彼女の養父母がどれほど厄介か分からないわ。私はいいけど、紗希に辛い思いをさせたくないの。紗希はまだ若いし、これからの人生は長いんだから」

伯母は話しているうちに涙を流し始めた。

いつも弱々しい性格の女性は、こういうとき焦って涙を流す。

静香は急いで伯母を寝室に連れて行って慰め、それから平野に目配せした。

平野はこの件をどう扱うべきか分かっていた。

彼は携帯を取り出し、自分の助手にメッセージを送った。

「今回の取り壊しの手順を調べてくれ」

取り壊しを行う会社が分かれば、自然と対処法も分かる。

実際、彼の性格なら、この養父母を縛り上げて海に投げ込んでサメの餌にし、遺体も残さず、誰も紗希に面倒をかけられなくなるようにしてしまう。

しかし、この極端な方法は静香が絶対に同意しないだろう。

もういい、彼は今では足を洗っているのだから、理論で人を説得しなければならない。

平野はメッセージを送ると、顔を上げて言った。

「紗希
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