共有

第007話

小鳥はまるで泥棒のように部屋をこっそり抜け出した。

彼女は足音を立てないように書斎に忍び込み、誰にも気づかれないことを確認すると、素早く金庫を開け、書類を取り出し写真を撮った。

その一連の動作はまるで慣れたもので、流れるように自然だった。

翌朝。

「母さん……今日、透析に行かなくちゃいけないの」

小鳥はわざと弱々しい表情を浮かべ、母に訴えた。

「1000万円、もう一度振り込んでくれる?」

「もちろんよ」母は一切の迷いもなく答え、即座に振り込みを完了させた。

その後、小鳥は豪華な服に着替え、高級ショッピングモールへ行った。

最新のデザインバッグをいくつか選んでから、母に電話をかけた。

「あぁ、このバッグ、本当に素敵だわ!でも、どうせあまり長く使えないんだと思うと、悲しくなっちゃう……」

「心配しないで、私の小鳥」

母はすぐに慰めた。

「欲しいなら全部買ってあげるわ!お金のことは気にしないで!」

小鳥は買い物を終えた後、そのバッグを返品し、現金に換えて自分の懐に収めた。

帰り道では、まるで弱り果てた病人のようにゆっくりと歩いて見せた。

家に着いた後、母は心配そうに言った。

「小鳥、これらの薬を試してみましょう。もしかしたら、今の症状を和らげることができるかもしれないわ。」

「母さん、本当にありがとう」

小鳥は涙を浮かべて言ったが、その言葉には冷たく皮肉が込められているのを母は気づかなかった。

「大丈夫よ、どんなことがあっても、あなたのために全力を尽くすから。」

その瞬間、私は部屋の片隅からそのやり取りを黙って見つめ、何もかもが無駄に感じられ、希望がゆっくりと消え去っていくのを感じた。

小鳥が自室に戻り、ドアを閉めた途端、彼女の表情は一変した。

彼女はベッドサイドの引き出しから携帯電話を取り出し、すぐに番号をダイヤルした。

「お父さん、お金はもう送った。」

その声は冷たく、何だか急いでいた。

電話の向こうからはかすれた男の声が聞こえた。

「小鳥、本当にありがとう。だけど、お前も知ってるだろ、俺の借金取りたちが……」

「もういい加減にして!」

小鳥は彼を遮った。

「これが最後よ!もう二度と私に金を頼まないで。私だって病気で苦しんでるんだから、少しは心配してくれてもいいじゃない!」

彼女の声には、皮肉と怒りが込めら
ロックされた本
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status