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母さん、私もう死んだよ
母さん、私もう死んだよ
著者: きみのす

第001話

最近、どうにも頭が痛くて、街中で時折倒れてしまうことがある。

病院で検査結果を受け取った時、私は心が凍りつくような思いをした。

脳に悪性の腫瘍があるって。しかも、すごく珍しい病気らしい。医者によると、積極的に治療しなければ、あと二ヶ月も生きられないかもしれないとのことだった。

しかし私は……まだ23歳だよ?そんな私に、あと2ヶ月しかないなんて、冗談みたいだ。

この事、どうやって母さんに伝えればいいんだろう。

沈んだ気持ちを抱えて、名目上は私の家であるこの屋敷に足を踏み入れると、ドアを開けた瞬間に目に飛び込んできたのは、母さんと養女の小鳥が、まるで本当の親子みたいに仲良くしている姿だった。

それに対して私は、完全にこの家の部外者だと感じた。

「どこに行ってたの? こんな遅い時間まで、お姉ちゃんを飢え死にさせるつもり? お姉ちゃんは体が弱いんだから、さっさとご飯作りなさい!」

「わかったよ、母さん」

母さんは、私が持っている薬の袋なんて気にしなかった。多分、見えていたとしても興味なんかないだろう。

私は病気で弱った体を引きずって、台所に向かった。

フライ返しはなぜか重くて、ひとつひとつの動作が私の全ての力を奪い去っていくようだった。

リビングからは、母さんと小鳥がテレビを見ながら、笑っている声が聞こえてきた。その声が、まるで針先のように、私の心に鋭く突き刺さった。

突然、小鳥が音もなく台所に忍び込んできた。彼女の手首には、光り輝く新しいブレスレットがはめられており、ライトの下で一層目立っていた。

「明日香、これ見てよ。これ、母さんが私に買ってくれたブレスレットよ。500万もするの! 羨ましいでしょ?」

彼女は挑発するように手首を振って見せた。

「たとえあなたが実の娘だとしてもどうなの? 結局、私たちの使用人みたいに働くしかないんじゃない」

心臓がギュッと締め付けられた。

500万……それは私の手術費用のはずだったのに。

長年、生きるために、学費と生活費を稼ぐために、家では下働きし、外では必死にバイトをして……けどこのお金は簡単に他人の自慢のネタになっている。

「渡辺明日香!まだご飯ができてないのか、はやくしろ! 怒らせたら承知しないからな!」

遠くから母さんの怒鳴り声が聞こえてきた。

「この役立たず、何でこんなに時間がかかるんだ。私たちを飢え死にさせたいのか」

そう言うと、母さんは小鳥を引き連れてリビングに戻り、また温かい親子の時間を楽しみ始めた。

その瞬間、心臓が鈍く打ち砕かれるような感覚に襲われた。

私は重い体を引きずりながら、黙々と料理を続けた。

やっとスープができて、運び出そうとした時、予想もしなかった屈辱が待っていた。

「きゃっ!」と小さな、しかし悪意に満ちた声が響いた瞬間、足元に何かが引っかかった。見下ろすと、それは小鳥がわざと仕掛けた罠だった。

スープはそのまま私の肌にかかり、熱さで我慢できないほどの痛みが走った。

すると、母さんが飛び出してきたが、心配するどころか私を責め立てた。

「この役立たず! スープひとつまともに運べないのか!」

頬に数発のビンタが飛んできて、視界がぐるぐると回り始めた。

「このクズ、あの時お前なんかをやかんにでも捨てておけばよかったんだ。この疫病神め! 寧々を殺して今度は小鳥まで殺す気か! 小鳥の腎臓移植のために、お前はおとなしくしてろ!」

「ぶっ殺してやる! お姉ちゃんが病弱だってことも分からないのか? ああ? よくもスープをぶっかけるなんて!」

母さんはヒールの靴で私の腹を思い切り蹴飛ばし、その痛みに涙があふれ出た。

「ごめんなさい……お母さん……」

しかし、母さんは全く気にせず、何度も私を蹴り続け、まるでこの十数年の恨みをすべて私にぶつけているかのようだった。

言葉も出ないほどの痛み、頭が重くなり、視界がぼやけていく中、母さんは小鳥を背後にかばいながら、「もう大丈夫よ、いい子だね」と優しく慰めていた。まるで、今起こったことがすべて私とは無関係であるかのように。

胸の中で渦巻く悲しみ、怒り、そして無力感。それらが混じり合って、最も苦しい感情に変わっていく。

私はこの家の血を分けた本当の家族なのに、どうしてこんなにも日々屈辱を受けなければならないのだろう……

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