車が素早くそばから通って前へ進んで行った。冷たい風と共に消えた。とわこは頭を上げて、幻の夜景色を眺めると、ロールス・ロイスが尾灯を閃いた。奏の車だろうか?手で涙を拭いて、さっさと気持ちを見直し、常盤邸へ向かった。邸の前に、車が止まっていた。とわこは門の前で止まって、奏が入っていくのを待っていた。目がとても渋かった。頭を上げて夜空を眺めると、星達が眩しく輝いて、とても美しかった。きれい。明日は晴れるだろう。そのまま立って、あっという間に、1時間も立った。車はなくなった。車庫に入っただろう。客間に灯りがついている。広くて静かだった。落ち着いたとわこはゆっくり客間に向かった。二階のベランダに、奏が灰色のガウンを着て、車椅子に座りながら、ゴブレットを手にしていた。ゴブレットに赤い液体が底をついていた。外で1時間ぐらい立っていた彼女を、奏がベランダでずっと見ていた。彼女は何を考えていたのか?じっと立ったままで、近くの木のように見えた。幼いごろから頭のいい人をいっぱい見てきた。頭のいい人だけが彼の近くに残されるのだ。ただし、とわこは例外だった。分かったくせに、何度もわざと彼を怒らせたのだ。賢いとは言えない。本物の馬鹿女だ。しかし、悲しい彼女を見ると、知らないうちに影響されてしまった。これは受動的な感情。生まれて初めて体に覚えた感覚だ。……部屋に戻って、とわこの頭が重くなった。冷たい風に当てられただろう。タンスの中から厚めの布団を取り出した。布団の中に入り込み、深い眠りに着いた。一晩寝汗を流して、夜風の寒気をやっと追い出した。目覚めた彼女の体がねばねばだったが、気分はよくなった。シャワーを浴びて、服を着替えて、部屋から出た。いい匂いに従ってダイニングに辿り着いた。三浦婆やはすでに朝食を用意できた。「彼は食べたの?」とわこは聞いた。「まだです。若旦那様がまだ降りていません」それを聞いて、とわこは慌ててミルクを飲み、お皿からのトースト等を大口で食べ始めた。5分も足らずに朝食を終えた。「若奥様、そんなに若旦那様のことが怖いですか?」三浦婆やが微笑んで彼女をからかった。「違うの…見たくないだけよ。見ると落ち着かなくなるの」顎を上げながら、少し
「座れ」彼女を一瞥してから奏が言った。「うん」彼女は向かい側のソファーに腰かけた。テーブルにパソコン1台置いてあった。スクリーンは彼女に向いてた。中には監視画面があった。よく見るとやっと分かった。彼の寝室の画面だった。監視カメラがベッドを向いていた。ベッドの上にいる彼と彼女が映られていた。画面をはっきり意識してから、とわこの頭に一瞬で血が昇ってきた。ぱっと立って画面を指さしながら、とわこが怒鳴り始めた。「奏、この変態が!寝室に監視カメラを設置するなんて!」怒りが彼女を支配した。元々3か月の共同生活を忘れようとしたのに。この3か月、彼は植物状態だったので、男としてみてなかった。外でどんなに華やかであっても、プライベートでは、外に見せたくないものが誰にだってある。3か月間監視されたことをとわこはどうしても受けられなかったのだ。彼の部屋に監視カメラがあるなんて聞いていなかった。彼女のムカついて震える姿を見て、奏は逆に落ち着いた。「どうして僕がカメラをつけたと思うの?」彼だって、病気の間に部屋にカメラを付けられたことを今日初めて知ったのだ。つけたのは大奥様だった。看護師の虐待を防ぐためだと言われた。いくら実力があるとは言え、植物状態になったら、もうどうにもできない。母の好意に腹を立てることはできなかった。母からすべてのデータをもらってきた。一通りざっと見たのだ。見終わって、血圧も上がった。とわこがこんな女だとは予想外だった。「それは…大奥様がつけたの?」とわこは不安そうに聞き出した。「大奥様がどうしてこんな事をしたの?教えくれればよかったのに!私…私…」胸の中に火が燃え続いた。「僕が目覚めたのは予想外だっただろう?病気中、僕の体を滅茶苦茶に弄んで、楽しかった?」奏は鋭く睨みながら、力込めて怒鳴り出した。とわこの顔が熱くなり、ソファに倒れた。「違うの、弄んだわけじゃないの。あれは。マッサージをするつもりだった、筋萎縮症を予防するための」常盤家に嫁いでから、看護師が奏にマッサージするのを何回か見て、彼女は看護師の仕事を引き継いだ。毎晩、看護師が奏にマッサージする時、彼女は部屋にいて気まずいと感じた。口論する彼女の姿を見て、一瞬、奏が誤解したのかと思った。
翌日、日曜日、10時半に起きた。初めて常盤家で朝寝坊した。部屋から出たとき、客間に男たちがいた。みんなこっちを振り向いてきた。大き目のナイトドレス、肩に垂れているみだれ髪、白くてきれい顔。お客さんが来るとは思わなかった。彼も、お客さんも、彼女を真剣に見つめた。おそらく彼女の出現を予想できなかった。とわこはドキッとした。気まずい立場にいると気づいて、体の向きを変え、部屋へ戻ろうとした。そんな時、三浦婆やがやってきて、彼女の手を取ってダイニングに向かった。「若奥様、お早うございます。お腹すいたでしょう?部屋に伺いましたよ。ぐっすり寝ていたので、起こしませんでした」「お早う。あの人達…誰?」どもりどもりと三浦婆やに聞き出した。「若旦那様の友達です。見舞に来ました。怖いと思ったら、挨拶しなくてもいいですよ」「わかった」奏に挨拶してないのに、彼の友達へはなおさらだ。もし、事前にお客さんが来ると分ったら、とっくに起きて、一日中外で遊びに行くわ。客間に。奏の友達は皆とわこのことに大きく興味を持っていたようだ。「奏、さっきの若い子、どうして泊まっていた?お手伝いさんか?それとも…」「みんな大人だし、奏も男だ。家に若い女がいるのは当たり前のことじゃないか。あははは」奏から返事なかったので、みんなが状況をわきまえ、その話を続けなかった。「三千院グループのお嬢さん、三千院とわこを知ってる?あの三千院太郎の娘…」「知ってるよ。金曜日の夜に電話をもらって、融資を頼まれた。話を聞くわけないだろう?とっとと電話を切ったんだ」「このとわこはなかなか面白いやつだ。お父さんの借金に関係ないだろう。分かっていたのに、自分で返済しようとするなんて、頭が壊れた?」「今の若者は考えが甘すぎるのさ。あの会社の新製品、俺はとっくに調べた。絶対無理。無人運転システム、すごそうに聞こえるが、道路の状況は複雑で把握できるわけがないだろう?こんなプロジェクトに投資するなんて、馬鹿に違いない!」……ダイニングで食事をしているとわこは、彼らの話を聞いて、複雑な気持ちになった。食事を済まして、パソコンを持ち出し、近くにある喫茶店で卒論を書くことにした。今の彼女はあまり余裕がないので、まず勉強と生活に専念すると決意していた。
とわこがそう思うと、まるで誰かに首を絞められたかのように感じた。激しいめまいと窒息感が押し寄せ、彼女は目が回りそうになった。奏がZだなんて、ありえない。Zが1億円を頭金としてとわこに送金した、しかも三千院グループを投資するつもりだった。奏はこんないいことをするはずがない。もし、奏がZじゃなかったら、彼はどうしてここにいるの?でも、車椅子、紺色のシャツと白い肌、全てが一つの真実に告げていた。目の前の人が確かに奏本人だった。ほかの誰でもない。彼女はびっくりしてはっと息を飲んだ。何げなく後退りをした。しかし、ドアはいつの間にか閉められた。「挨拶もなしに帰るのか?」慌てて逃げようとした彼女を見つめながら、奏は聞き出した。「こんなところに何をしに来た?」とわこは耳元の髪を上へ引き上げて、落ち着こうとした。「私…クラスメートと約束して食事に来たの」「ここはバーだぞ」「そうか…」とわこは部屋中をじろじろ見た。とても大きな個室で、内装も上品だった。しかし、彼女にとってここは地獄のようで、一刻も早く出て行きたかった。「私…場所間違ったのかな。クラスメイトを探しに行くよ」「とわこ、今朝僕の話を忘れたのか?」奏の怒鳴り声に寒気を感じた。「覚えているよ。でも、どうして私は奏の言うことを聞かなきゃならないの」この前の件、今でも歴然と目に浮かんでいる。酒の相手をしなかったのに、着飾った風俗嬢みたいに、ほかの男と遊んでいたと断言された。彼女の回答に困った奏が眉をひそめた。彼女がほかの女と違うのは分かっている。自分なりの考えがあり、権力にも怯えない。一番重要なのは、いくら警告しても、まったく気にしなかった点だ。つまり彼のことを気にしていないのだ。ゴブレットを持ち上げて、奏はワインを一口飲んだ。深い息を吸ってから、とわこは試しに聞き出した。「奏、どうしてここに?本邸で食事するのじゃなかったの?」元々聞きたいのは、ここはZさんが予約した部屋で、どうしてあなたがここにいるのか?もしかして、奏、あなたがZなの?でも、彼女はそんな勇気はなかった。彼が答えるのを恐れていた。もし彼がZだったら、これから仕事の話はどう進めばいいの?Zじゃなかったら、今朝嘘ついたことをどうやって説明するの?「来い、酒を付き合
長くて苦しい一晩だった。全て終わった時、彼女は疲れ果てて眠ってしまった。翌日。常盤グループ。奏はいつも通り、午前10時に会社着いた。オフィスに入って間もなく、武田がやってきた。「昨日の夜、探しに行ったけど。とわこと帰ったのか」奏が眉をひそめた。「わざわざ来るのはその話をするためか?」苦笑しながら、武田は手にした書類を机に置いた。「これは三千院グループ過去数年の財務諸表だ。一通り調べたが、不審なところは結構あるぞ。特に財務責任者、400億円をだまし取った。その犯人は社長の奥さんの弟だった」奏は目をつぶって考えた。もし武田が言ったことが本当だったら、破産は新製品開発と無関係のはずだ。「この件でわかった。嫁を選ぶ時はちゃんと目を光らせた方がいいよ」武田が嘆いた。「太郎が当時すみれに浮気しなかったら、今の三千院グループはこんな羽目にならなかっただろうな」「もう一つ分かったことがある。女は成功への足手まといだ」奏は冷ややかな顔をしていた。「そう…マジでとわこと離婚するつもりか。いつ離婚届を出すの?独身に戻ったら、パーティーでもしようか?」武田が機嫌よく言った「仕事はもう終わったのか?そんなに暇?」奏は眉を上げて口調が厳しくなった。武田は椅子から立ち上がり、軽く咳をした。「もう行くけど……ちょっと忠告しとくよ、首の引っかき傷、薬を塗った方がいいと思うぞ。猫にでもやられたのかと思われるかもよ。どうやら昨夜は相当激しかったみたいだね」喉仏の動きと同時に、「出て行け!」と怒鳴り声が響いてきた。武田はさっさと出て行った。しばらくして、直美がドアをノックして入った。「奏、今忙しいの?ちょっと仕事以外のことについてお話ししたいの」ドアを閉めてから直美が言い出した。奏はメールボックスを眺めていた。「今は空いていない。仕事以外なら、終わってからにしてくれ」直美は一瞬躊躇したが、続けて話すことにした。「やっぱり今話すよ。この件は仕事よりも大事なの」彼女は手にした封筒を奏に渡した。「開けてみて。びっくりさせるよ」椅子に座った直美の視線は、奏の首の傷と一直線だ。考えなくてもわかるものだ。彼女はやきもちを焼いた。「夕べとわことやったの?」直美は震えた声で叫び出した。「奏、とわこのことは本気に
怒った奏を見て直美は火に油を注いだ。「奏、とわこはあなたに嫁ぐ前、弥と付き合ったの。これはいいけど、誰にでも過去があるもの。でも、結婚してから弥と不倫するなんて、これは常盤家の恥だ。多分、奏はあのまま目覚めないと思っていたからだわ」かっとなった奏はこぶしを握り締めた。怒りを抑えきれず、必死に母子手帳を睨んでいた。「きっと奏の金目当てだわ。当時、医者が余命宣告をした時、奏はもう長くないと思っていた。そんな時、とわこが嫁いできて、しかも子供もできた。そうしたら、奏の資産はすべてあの女のものになるのよ。計画通りだった。でもあいにく、奏が目覚めたの。これで彼らの計画は水の泡になったのよ」「出て行け!」奏は怒鳴り出した。本当かどう別として、悪事が暴れて、奏は気色悪いと感じた。直美は怒鳴られて悔しいが、奏の気持ちを十分理解していた。椅子から立ち上がり、慎重にドアを閉めて離れた。少し落ち着いてから、奏は襟を正した。そしてもう一度母子手帳を手に持ち、さっさと一通り目を通した。最後、視線は常盤弥という文字の所に止まった。心の底から殺意が湧いてきた。兄が自分の資産を狙っているのは奏は知っているが、まさか身近にいるとわこが彼らの駒だったとは知らなかった。この罠にはめられるところだった。夕べ、とわこと乱れた一晩過ごしたことを思うと、彼の怒りは抑えきれていた。……常盤家。主寝室。とわこは大きなベッドでよく寝ていた。ドアを力強く開けられ、大きな音がした。目覚めてない彼女は乱暴に引っ張られ、起こされた。「失礼しました」用心棒は彼女をベッドから引き揚げて、肩で担いだ。「何?!どこへ連れて行くの?!」彼女はびっくりして叫び出した。「病院、中絶」用心棒からの言葉は簡単だった。それを聞いてとわこは冷たい湖に沈むように落ち込んだ。奏に妊娠のことを知られたのか?どうしてわかったのか?誰が告げ口をしたの?「奏はどこ?会わせて!」怖くて泣きだしたとわこが叫び続けた。「子供を降ろせない。絶対に嫌!」用心棒から脱走しようと思ったが、昨日の夜に力尽くした。彼女が破棄物のように車の後部座席に落とされた。広い車内に奏は座っていた。冷え込んだ目で彼女を睨んだ。彼は一枚の紙を彼女の顔に投げ捨ててきた。
奏は嫌そうな顔して彼女の手を振り払って、声が冷たくなった。「とわこ、命だけ残してやる。もう黙れ、二度と僕を怒らせないで」彼の冷徹な顔を見て、とわこは痛みを飲み込むことにした。今、何を言っても、何をしても、彼の意志を変えられないと悟った。座席に縮みながら、とわこは悲しく車窓の外に目を向けた。病院。車が止まった。とわこは車から用心棒に無理やり引きずられて、産婦人科へ向かった。奏は車の中に座ったまま、タバコに火を点けた。連れ去られた時、とわこの彼を睨む目とこぼれた涙、何げなく、奏の頭の中に浮かんでいた。彼女を心配することだけはしない。彼を裏切った人は、決して許されない。とわこは手術室へ運べられた。ドアがゆっくりと閉まった。30分後、手術室のドアが開いた。医者が出てきて、用心棒に告げた。「手術終わったが、妊婦は手術室に1時間留置観察する必要があります」手術は終わった。用心棒の役目も終えた。用心棒は大股で出て行った。医者は手術室へ戻った。電話で聞いて、井上はすぐ病院にやってきた。とわこはベンチに座り、二つの目が真っ赤だった。「母さん、悲しいよ…」井上は彼女の背中を撫でながら言い聞かせた。「とわこ、もう泣かないで。帰ろう。本当のことを知ったら、彼はきっと後悔するわ」「しないよ。母さん、あの人は絶対後悔しないから」とわこは手を引き上げて目じりの涙を拭いた。「あの人の心は石よりも硬いの」とわこを支えて、井上はとわこと二人で病院から出た。道端でタクシーを拾った。彼女たちを見送ってから、奏は病院から離れた。常盤邸にて。弥は邸にやって来た。奏から用があり、面談に来いと言われた。常盤邸に着いたが、奏を見かけなかった。「叔父様は何の用だ?屋敷に来いと言われたのだが」お茶を飲みながら、三浦婆やに聞いてみた。三浦婆やは恐ろし気に頭を横に振った。「私は知りません。聞かないでください」とわこが連れ去られた時、三浦婆やは隅でずっと見ていた。何も言えず、何もできずにいた。とわこが妊娠したことを信じられなかった。それに奏に無理強いされて妊娠中絶するなんて、三浦婆やは理解できなかった。夕べ、二人は一緒に寝たのに。しばらくして、奏の車が入ってきた。弥が車の音を聞いて、ソファーから立ち上が
常盤は眉をひそめた。申し込み書を見なかったら、弥のことを信じたかもしれない。「お前の子供だと言っていた」用心棒が怒鳴り出した。「よくもそんなことをするな、この命知らずめ」弥は泣き出した。「嘘ですよ!彼女はずっと私に触れさせなかったから、私に振られたのです!彼女はきっと私を恨んでいたから、わざとその子供の父は私だと噓を言ったのですよ!これは絶対私への報復なのです。叔父様、信じてください。あの子供が誰のものかわかりませんが、私だけは絶対あり得ませんから!」地面に這い、怯えているこの男を見て、奏は突然どうでもいいと思った。これはとわこが惚れた男かよ。この軟弱な男は何かあったら、必ず彼女を売りに出す。「閉じ込め。命だけは残してやれ」奏の無感情な声が響いた。弥を簡単に死なせるわけがない。とわこの前で、ゆっくり、ゆっくり弥のプライドを潰していくのだ。……井上はとわこを連れてリースした部屋に戻った。部屋に入り、とわこをベッドに横たわらせた。「とわこ、泣かないで。泣いちゃいけないの…流産したから、体がまた弱いから…」天井を見上げながらとわこは言い出した。「母さん、子供たちはまだいるの。おろしてなかった」話を聞いた井上は一瞬呆れた。「どういうこと?無理やりおろされたじゃなかったの?」「お医者さんに交渉したの。もし子供がおろされたら、私もいっしょに死ぬと。それに、彼女も一緒に死んでやると」とわこの声は静かで落ち着きがある。子供たちがまだいるが、彼女の心は死んだようだ。今度は逃れたが、次はどうする?奏のそばに居れば、子供たちが永遠にこの危機から逃れられない。携帯が鳴った。この場の空気が一変した。田中からの電話だ。「とわこ、夕べ私飲みすぎました。今目覚めたばかりです。今日Zさんから連絡来ていました?」とわこは呆然とした。「いいえ。夕べ、誰と飲んでいました?」「Zさんですよ。渡辺裕之という若い男だったが、ネットで調べても素性が分かりませんでした。だが金持ちであることは本当です。ずっといいプロジェクトを探してたって…沢山お話ししました、結果はまだわかりませんが」「常盤奏と知り合いでしたか?」とわこが慎重そうに聞いた。「これは…分かりませんね!でも、武田と知り合いだと言われています。武田は