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第4話

目を覚ますと、私は病院にいた。そばには美しい顔が大きく映っている。

「北原ちゃん、目が覚めたんだね!ほんとに心配したんだから!」

向かいの隣人、森里奈だった。

彼女は胸を押さえながら、「昨晩、北原ちゃんの家でケンカしてるのを聞いて、心配で見に行ったら、北原ちゃんが倒れていたのよ」と説明した。

そういうことだったのか。「ありがとう、森ちゃん」

「気にしないで。でもね、北原ちゃん、妊娠してるんだから、あまり怒っちゃダメよ。先生が、流産の兆候があるって言ってたから、ちゃんと気をつけて!」

その言葉に、私は呆然としてしまった。妊娠?

私と颯太はずっと避妊していたのに、どうして?

ふと、先月のことを思い出した。颯太が酔って帰ってきて、私も少しお酒を飲んで、二人でそのまま一晩中もつれ合った。後になって何も覚えておらず、薬を飲むのも忘れていた。

この子は、たぶんあの時にできたに違いない。

なんて皮肉だろう。

彼は子どもを望んでいない。

私が汚いとまで言ったくせに、今になって本当に妊娠するなんて。

私はお腹をさすりながら思った。この子ができたのは、なんともタイミングが悪い。

森里奈は私の様子をうかがいながら、「北原ちゃん、どうしたの?具合が悪いの?先生を呼んでくる?」と言い、私が答える前にすぐに医者を呼びに行った。

医者はやって来て、私を診察した後で言った。「自分のことを全然気にかけてないね。妊娠中は情緒が不安定になるとダメなんだよ、そうじゃないとこの子は……」

「子どもは産むつもりはありません」

私の言葉に、二人はその場で固まってしまった。森里奈は驚いた顔で私を見つめ、医者は「本当にそれでいいんですか?」と私に確認してきた。

「今の状態なら、胎児を守ることもできる。でも守らないつもりなら、また情緒が不安定になるとすぐにダメになってしまうよ!」

私はうなずいた。「いりません。この子の父親は歓迎していませんから」

森里奈は口を押さえ、「北原ちゃん、まさか、その子のことでケンカしたの?彼、ひどすぎるわ!」と言い、私の手をぎゅっと握りしめた。「証言が必要なら、私が手伝ってあげる!」

私は微笑んで彼女の手を軽く叩いた。「ありがとう」

森里奈はまだ卒業したばかりだというのに、そんなふうに言ってくれて、私は深く息
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