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第2話

私は淡々と料理を何品か注文して、颯太に言った。「昨夜の二日酔いが残ってるでしょう。今日確かにさっぱりしたものを食べなきゃ。だが、体調が悪いなら薬を飲んだら?食事療法だけじゃ効かないよ」

私は薬を取り出して渡した。「食後に飲もう」

私から渡された粉薬を見た颯太の顔付きが落ち着きになって、「やはり妻は俺のことを気にしているんだ!」と嘆いた。

同席の芽依は微かな悔しそうな目つきがきらめき、私の目線と一旦合わせると、すぐに冷酷な顔付きになった。

「あまりにも焦ってるんだな!」と、私は心の中で冷笑した。それぐらいですか?

「紬希さんは本当に優れた内助でしたら、仕事では颯太さんに手を貸すとかのことを考えたことがあるかしら?1人で家計を支える颯太さんのストレスが大きすぎるもん!」

私を指弾する者が現れた!

無職で四六時中家にいる私のことを言ってるじゃん。

私は目線を颯太に投じ、淡々と笑った。「仕方がないよ。夫は私が就職したら男と駆け落ちしてしまうことを恐れています。だから、結婚してここ数年ずっと専業主婦化させられていますよ」

そう聞いた颯太は自慢しそうになった。「紬希ちゃんは当時、A大の秀才で、デザイン界のスターだったよ!彼女が手を出すと売れ筋品化に繋がるんだ!」

それで芽依は誇張した声で言った。「そうですか?紬希さはすごいね。かえって私は何もできません!」

私は淡々と彼女に目線を向けた。「何もできないなら、颯太のアシスタントになれませんか?やはり芽依さんは謙虚すぎますよ」

芽依は冷やかしの言葉を吐いたが、女性に対する今の職場の厳しさを知らないはずはない。

何もできない萌えちゃんなら、颯太のそばにいる資格はあるか?

そうな手口なら百年早いわ!

花瓶と皮肉されて、芽依の顔色が一瞬難色を見せた。

彼女はやっと黙った。

颯太は彼女の頭をタップしながらいった。「ほら、これからも頑張らなきゃぞ!」

芽依は彼をちらっと見た。「わかったよ!紬希さんとは比べ物にならないもん! 」

「そうだよ。うちの紬希ちゃんは一番」

私は冷静に、彼らのふざけをじっと見ていた。おそらく颯太自身でさえ芽依への甘やかした自分の目付きに気が付かなっかた。

蠟を噛んだような食事だった。颯太は興が尽きなさそうに、「そうだ。話があって、何だっけ?」

「我々二人きりのプライベートな話だよ」

芽依は口を拭いて聞いた。「何ですか?」

私は近づいてきた彼女をちょっと目にした。「こんなことは、芽依さんは聞かないほうがいいかもしれませんが、別に芽依さんは赤の他人でもないよね」

そう言われれて喜びが彼女の顔に浮かび、じっと静坐するようにした。

私はタイミングよく離婚協議書を颯太に渡した。彼は眉をひそめた。「どういう意味?」

「文面通りだよ。ご覧になって、何も問題がなければ、さっさとサインして」

颯太は不満そうになった。「紬希ちゃん、かんしゃくをおこさないで!」

芽依はそれを見て思わず口をふさいだが、目には喜色がちらっと浮かんだ。

私は彼らに微笑みながら言った。「颯太にはこんな女友達がいれば、私は邪魔ものだよ」

「紬希さん、何か誤解していますか?私と颯太さんの間には別に何もありませんよ。たとえ離婚しても、颯太さんの財産を山分けするご請求があるでしょう。そうしたら颯太さんの会社はどうしますか?」

私はテーブルを叩いて颯太に聞いた。「山分けですが、問題がありますか?」

「颯太、婚姻存続期間中の夫婦共同財産を山分けする私の請求は合法ですよね?」

颯太はこぶしを握りしめて立ち上がって私を引っ張り出しました!

ついて来ようとする芽依に、颯太は「先に帰って!」と言った。

そして私を車に詰め込んで、忽ち去って行った。

「紬希、いったいどういう意味なの?」

「芽依なら、全く必要ない。あいつは唯のアシスタントだよ!」

「気に入らないなら、僕は芽依を解雇すればいい!」

私は彼を見つめていた。「ご覧になった文字通りだよ。私は離婚したい」

颯太はハンドルを強く叩いた。「俺は同意しない!」

「俺らは幸せに暮らているじゃないか、ふざけた事言うなよ!」

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