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第9話

颯太が出て行った後、私は芽依から電話を受けた。「見たでしょ?」

「今、私はお前の旦那さんの子どもを身ごもっているの。私たちこそが本当の家族よ」

「じゃあ、お幸せにね。表に出られない愛人は、結局は人々に罵られる運命なのよ。この子、無事に産めるといいわね」

電話を切ると、私は冷笑した。颯太のことをよく知っている私にはわかっていました。彼が芽依を許すことは絶対にない。この子は絶対に産まれないだろう、と。

もし私が芽依だったら、さっさと逃げるのが賢明だと思うわ。さもないと、颯太に復讐されることになる。

やはり私の予想通り、再びを見たのはニュースの中だった。

「ネットで広まった情報によると、男性がアパートに侵入し、女性を刺して重傷を負わせた。女性は大量出血し、子宮を失い、生涯子供が産めなくなったという」

颯太は逮捕され、私は離婚届を手にした。

最後の瞬間、彼が思いがけず私を解放してくれたことに、心底ほっとした。

離婚後、私は彼の財産の7割を手に入れた。芽依は騒ぎを起こし、颯太に金を要求しようとしたが、逆に酷い目に遭った。

颯太がいい人でないことは知っていたけれど、芽依に対してここまでひどいとは思わなかった。

彼は芽依を刑務所送りにした。

芽依は法律事務所で働いていたが、裏で顧客と接触してリベートを受け取っていた。

颯太はそのことを知っていながら見逃していたが、今や情はなく、当然のように彼女を見捨てた。

ただ、判決が出た後、颯太が私に会いたいと言ってきたので、仕方なく会いに行った。

颯太を見た瞬間、私は少し驚いた。わずか数日見なかっただけで、彼はまるで別人のようにやつれ、すっかり元気を失っていた。

彼は私を見ると苦笑しながら言った。「会ってくれてありがとう」

「まさか、こんなことになるとは思わなかった」

「法を犯したのは自分自身、誰のせいでもない」

颯太はうなだれて言った。「俺は自分の本当の気持ちに気づけなかった。俺が悪かった。子供ができないのは当然だ、俺にはその資格がない」

彼の言葉を聞き、私は大きく息を吐いた。「知ってる?帰ったことある?引き出しの一番底にプレゼントを残しておいたの、あなたのために」

「でも、もうどうでもいいわ。今後、私たちは二度と会うことはないから」

私は立ち上がり、立ち去ろうとした。颯太は怒りに震えながら
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