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拝啓、涙する旦那様へ〜私の墓前でそんなに泣いても、もう遅いです〜
拝啓、涙する旦那様へ〜私の墓前でそんなに泣いても、もう遅いです〜
Author: 猫心魚知らず

第1話

テーブルに座り、冷めた料理を見つめていると、「了解」を送信した。

30分前、宗真から「会社を出たよ、すぐに帰る」とメッセージが来ていた。

彼の好きな料理をテーブルに並べて待っていたのに、スマホには「急に飲み会が入ったから、一人で食べて」とのメッセージが。

その瞬間、私の心は冷え切った。

急な飲み会なんて、ただ私の妹、彼の初恋相手の依奈が、ハーフの子供を連れて海外から帰ってきただけ。宗真は友達を呼んで彼女の歓迎パーティーを行った。

どうして知っているのかって?

それは私の良い妹が私だけに見える投稿をしたおかげだ。写真には宗真が彼女を優しく見つめて犬よりも愛想良く笑っていた。

彼女が顔を保とうとしなければ、私を現場に呼んで、直接見せつけたかったのだろう。

宗真と結婚した時、アメリカにいた彼女はわざわざ電話をかけてきて、「私の良い姉さん、いくらあなたが私とそっくりでも、宗真が心から愛しているのは永遠に私よ」と注意してきた。

その頃、彼女は背の高いアメリカ人の彼氏と結婚して二年が経ち、念願のハーフの子供も生まれていた。それなのに、彼女は私に自分が宗真にとってどれほど大切かをアピールしてきた。

確かに彼女の言う通り、宗真がずっと彼女のことを心に留めていた。

新婚初夜、宗真が私の上で身体を動かし、何度も私の眉や目をキスしている時、彼の口から出てきたのは「依奈」という名前だった。

私は桜井箐美と呼ばれていた。

冷めたおかずを口に運び、思いっきり食べた。喉が詰まりそうでも、止まらなかった。

医者によれば、私の病気は長い間ちゃんと食べていなかったからで、食事の回数が不規則だったため、どんどん悪化したのだという。これからはきちんと食べないと。

かつては宗真のために、夜遅くまで忙しく働き、一日一食しか食べないことも多かった。

今日は、彼を待つために、一時間以上も我慢した。

これからは、彼のために一分でも我慢したくない!

食事を終え、片付けを終えてから、ベッドに横になった。

寝る前に、「今夜、宗真は何時までだろう」と考えたが、翌朝目を覚ますと、冷たく整った布団を見て、彼が一晩帰ってこないとわかった。

私は無意識にスマホを手に取り、依奈のタイムラインを確認した。

案の定、私だけに見える投稿には、彼女と宗真がしっかりと手を繋いた写真があり、「八年ぶりに再び手を繋ぎ、変わらず温かい!」とキャプションが添えられていた。

私の胃はぎゅっと掴まれたように痛み、呼吸が苦しくなって冷や汗が流れた。

一方の手でスマホを持ち、もう一方の手で胃を押さえ、「大丈夫だよ、依奈。どうせもうすぐ死ぬんだから、何も関係ないさ!」と自分に言い聞かせた。

そう、私は胃癌にかかっていて、医者はあと三ヶ月ほどの命だと言った。

これまで、白川家のために受注を獲得し、宗真の面倒を見て、いつも一日一食だけ食べ、飲みすぎて吐いてしまうこともあった。そのせいで、自分の胃を壊してしまった。

でも今は、あと一日しか生きられないとしても、自分の胃をこれ以上苦しめたくない。

だから起きて、自分の朝食を準備した。

薄切り肉のお粥をテーブルに並べていると、宗真が依奈とその子供を連れて帰ってきた。

宗真が依奈に会うように嘘をついた時、私は泣かなかった。彼が一晩帰らない

時も泣かなかった。依奈のSNSを見ても泣かなかった。

しかし、彼が彼女たちを家に連れて入ってきた瞬間、私の涙は決壊したかのように溢れ出た。ついに、私の最後の落ち着ける場所もこの二人に汚されてしまった!

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