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第2話

「綾子のお兄さんって、彼女にすごく優しいんだって。彼女は女の子は皆こうで、甘やかされるべきだって言うけど、そうなのかな?

父も私を恨んでいる。私は彼の妻の命を奪ったんだって。彼は私を殺人犯だと言った。

でもね、もしできることなら、私はすべてを捧げてでも彼らに償いたいと思ってる」

日記帳はもう分厚い一冊になっている。この日記帳はお母さんが残してくれたもの。そして表紙には母が私に残した一言がある。

「私の娘が生まれたら、きっととっても可愛いんだろうな。この日記帳には娘のことを書き記そう」

私は日記帳をそっと胸に抱きしめ、鼻の奥がツンとして、もう堪えきれず、涙がぽたぽたと膝に落ちた。

お母さん、会いたいよ......でも、もし母さんに会ったら、母さんも私を憎むのかな?

どうやって眠ったのか覚えていない。目が覚めたとき、寒さで体を丸めていて、懐にはしっかりと日記帳を抱えていた。

目が少し乾いて痛んだ。簡単に支度をして学校へ向かった。学校には、私が唯一温もりを感じられる存在がいた。

「培ちゃん、またちゃんとご飯食べてないでしょ?ほら、これ食べて。肉まん、持ってきたよ」

綾子は私にいくつかの肉まんを差し出し、ぱっちりした瞳をキラキラと輝かせながら言った。

「これ、すっごく美味しいの。私の大好物なんだよ」

「私、今はお腹空いてないから......」

「ぐーぐー......」

「ぷっハハハ、培ちゃん、もうお腹が鳴ってるじゃない!嘘つき!」

綾子は息を切らして笑いながら、肉まんを私の手に押し込んできた。

「さ、早く食べて。まだ温かいんだから」

思わず私は笑ってしまった。「ありがとう、綾子」

「何言ってんの、私たち友達でしょ?」

綾子は腕を組んで、私の頬を軽くつねった。

彼女は本当に素敵な子で、私の灰色の人生に差し込む唯一の光だった。彼女は私を「培ちゃん」と呼んでいる。培うの「培」、命を賠うの「賠」じゃないのだ。

家に帰ると、なんだか家の中の空気が重たく感じた。いつものように屋根裏の部屋に戻ろうとした瞬間、父が突然声をかけてきた。

「佐木命賠」

「お......お父さん......」

私は戸惑いながら、思わず手の傷を背中に隠した。今日、ある人の子猫を木から助けてあげた。彼女は私に五百円をくれたが、うっかりして手を切ってしまった。

父は私のこんなことを気にしないことは知っているが、私は反射的に手を隠した。

「手、怪我したのか?」

父の目が一瞬だけ光り、次の瞬間、私の手を取った。

「痛い......」

父は力強く私の腕を握りしめた。昨日、火傷した跡はまだ治っていなかった。

「病院に連れて行こう」

その言葉を聞いた瞬間、恐れがこみ上げてきて、痛みすら忘れた。

「大、大丈夫......簡単に包帯巻くだけでいいから」

「病院に行くぞ」

父は少し嫌な表情をした。私は言い返せず、彼について行くしかなかった。

しかし、病院に着くなり、父はなぜか私に様々な検査を受けさせた。まるで健康診断のように。最後に包帯を巻いてくれることもなく、一連の検査をして帰った。

流血している私の傷口を見つめ、父の固い横顔を見た。

「お父さん、私......」

「黙れ!」

私はすぐに口を閉じた。

最近、兄の体調が悪化しているようだった。よくふらつき、顔色もどんどん悪くなっていた。私が水を持っていこうとすると、いつも兄に追い返されてしまう。

「お前は災いの星だ!母さんを殺したくせに、今度は俺まで殺すつもりか!お前なんか、禍の源だ!」

私は分からなくて、ただ首を振りながら泣いて叫んだ。

「お兄ちゃん......分からないよ。お兄ちゃん、何があったの?教えてくれないの?」

「私を触るな!汚い!」

兄は私を一気に押し倒し、私は不注意に割れたガラスの破片の上に倒れてしまった。手のひらに鈍痛が走り、私は思わずうめいた。

「命賠、ちょっと外に出てろ。お兄ちゃんと話がある」

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