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第6話

兄は目を大きく見開き、もともと血の気がなかった顔がさらに青白くなり、倒れそうになったところを、父がすかさず支えた。

「翔太、言うことを聞いて、病室に休みに行きなさい」

「父さん......これは誰だ?彼女はなぜここにいるの......彼女はあんなに自己中心的で、あんなに運命が強すぎる人なのに......なぜ突然ここに横たわっているの......」

兄の声は震え、目の前の光景を信じられない様子で見つめていた。

その姿を見て、急にかつて何度も遅く帰ったときのことを思い出した。彼らの心配を受けると思っていたが、結局彼らの皮肉を受けた。

「帰ってきたのか?こんなに遅くまで帰ってこないから、もう帰れないかと思ってたよ」

「お兄ちゃん......今夜は......」

「お前が今夜何をしようと俺には関係ない。むしろ外で死んでくれればいいさ。それで命を償ったことになるだろう。どうせその命、お前のものじゃないんだから」

しかし、実際に私が死んだ今、兄はこんな風になっているのは思わなかった。

「翔太......」

「これは誰?!これは佐木命賠だよね?!私の許可なしに、彼女は本当に外で死んではいけない!彼女はまだ命を返していない!私はまだ彼女を許していない!どうして!」

兄はまるで制御不能になって、直接大声で叫んだ。私は彼の様子を見て、少し胸が痛んだ。

私は死ぬことさえ、自分で決められないのだ。

「翔太、君は知っておくべきだ。君が生きていられるのは、君の妹が命を救ったからだ」

渡辺おじさんが淡々と言葉を口にした。その目は真っ赤に充血し、以前よりもさらに老け込んで見えた。私の記憶の中で、渡辺おじさんはいつも同年代の人より老けて見え、父に会うたびに何か言いたかったが、いつも言葉を飲み込んでいた。

しかし、今日の渡辺おじさんは、いつにも増して老け込んで見えた。

兄は渡辺おじさんの言葉を聞いて、びっくりして呆然とし、信じられないように渡辺おじさんを見つめた。

「渡辺おじさん......何を言っているんですか?私と佐木命賠には何の関係もありません......私のこの命は、父さんが救ってくれたんです」

「確かに君の命はお父さんが救ったかもしれない。でも、知らなかったのか?君の腎臓は、妹のものだ!彼女は君を救うために、もうあの手術台から帰ってこられなかったんだ!」

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