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第12話

ヒロ(三)

七年後、俺は結婚した。

娘が生まれた。ふわふわと愛らしい小さな子で、

鼻先には悠香と同じ赤い小さなほくろがある。

俺は彼女を大切に育てている。まるで、悠香への後悔を抱えながら愛情を注ぐかのように。

妻は、俺の両親の墓の隣にある墓地に誰が眠っているのか尋ねたことがある。

俺はただ「妹だ」とだけ答えた。

深夜、悠香のことを思い出すたび、俺自身も彼女に対する感情がよくわからなくなる。

愛情なのか、同情なのか、あるいは家族への情なのか……

俺もよくわからない。

ただ、悠香の命日になると、俺はどうしようもなく涙を流し、心が張り裂けそうなほど苦しむのだ。
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