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第7話

夜も更け、お腹の痛みがやわらいでいくのを感じた私は、マフラーで顔と頭を覆い、夜の静寂に紛れて家を出た。

道端には金髪に染めた数人の少年たちがいた。

私は慣れた手つきで、路上に停まっていたスクーターの鍵をペンチで開け、

万能キーでエンジンをかけた。

夜風に吹かれ髪が乱れる様子は、まるで兄が湖の中で私を助けてくれたときのあの乱れた髪のようだった。

私はクスクスと笑い、

開放感に満ちた笑いを浮かべた。

それを見て、周りの少年たちも静かに微笑んでいた。

とりわけヒロの目がじっと私を見つめる様子は、幼い頃の兄が私を見ていたときの優しい眼差しにそっくりだった。

窃盗が終わると、私たちは湖のほとりへ向かった。

彼らは私を褒め、じゃれ合いながら、

「さすが学年一位の優等生だ。何を教えてもすぐ覚えるし、鍵開けもお手のものだな」と言ってくれた。

私は軽く微笑みながらタバコに火をつけ、口から吐き出す煙が夜の空気に溶けていくのを眺めていた。

これで私たちの窃盗は100回目だった。私が彼らと戦利品を分け合わず、ただ一緒に行動するだけだった。

だから彼らは喜んで私を仲間に入れてくれていた。警察に見つかっても、絶対に私のことは口外せず、優等生の私が捕まることがないようにと先に逃がしてくれるとまで約束してくれていた。

彼らも確かにそれをやり遂げた。100回の窃盗の中で、彼らは時々警察署の常連になっていた。

しかし私の姿が警察署に現れることは一度もなかった。

警察に捕まり、刑期が少し延びることがあっても、誰も私の存在を漏らすことはなかった。

思い出に浸っていると、ヒロが薬の瓶を取り出し、綿棒で私の頬にそっと触れた。

唇の端に刺すような痛みと冷たさが伝わってくる。

私はタバコを捨てて微笑み、顔を彼のほうに寄せた。

何度も殴られたあとにヒロが薬を塗ってくれたことがあったが、もうその回数も覚えていない。

兄が亡くなって以来、ヒロはいつもそばにいてくれたように感じる。

私は彼がいつ現れたのも、どれだけ私のそばにいたかも覚えていない。

ビールを開けて祝おうとしたそのとき、

警笛の音が響き、

皆の背筋が一瞬で緊張した。

ヒロが私の手をぎゅっと握りしめた。

「悠香、俺が連れて行くから。安心して、警察に捕まらせたりしない」

月明かりの中に浮かぶ彼の横顔は、

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